呼吸が浅くなって肩こりになってませんか?
自分でも呼吸が浅く感じるし、デスクワークなどしていると余計息苦しくて肩もこってくる…と、悩んでいませんか?
肩こりの原因として多いのは、普段からの姿勢の悪さであったり、デスクワークなどによる腕や手の使い過ぎであったり、誤った身体の使い方であったり、こういったことが多いのは確かです。
ただ、なかにはとくに何かしたわけでもないのに肩がこったり、デスクワークが続くと肩がこって息苦しくなったり気分が悪くなる方がいますが、こんな時はもしかすると呼吸が浅くなっているかもしれません。
というのも呼吸の浅さが肩こりの原因になってしまっていることがあるんです。
えっ!?呼吸と肩こりって関係あるの?と思われる人もいると思いますので、今回は肩こりと呼吸の関係についてお伝えしていきます。
呼吸が浅いと肩・首の筋肉が酷使される
呼吸が浅いことが肩こりの原因になると書きましたが、それはどうしてなのか?これは呼吸が浅くなると、肩や首の筋肉の仕事の量が増えてしまうからです。
というのも、呼吸が深い時は肋骨の下にある横隔膜という組織が下にさがって、胸を膨らませ肺を広げて酸素を取り入れます。
赤線の部分が横隔膜です。
それが、
簡単に言うと呼吸が深い時にはこのように、赤の部分(横隔膜)が矢印の方向に下がって、オレンジ色の円が広がり酸素を取り入れます。
これが呼吸が浅くなると、横隔膜の働きが減ってしまい必要な酸素をしっかり取り込めなくなるため、その分横隔膜が働いている時にはそれほど使用されない、肩や首周辺の筋肉で上部の肋骨を持ち上げてオレンジの色の円を広げて酸素を取り込みます。
この状態を例えで言うと肩で息をするってやつですね。
そうなれば簡単な原理ですが、呼吸をするたびに肩周りの筋肉を使い重力に逆らって肋骨を広げて肩や腕を持ち上げるので、筋肉が疲労してしてしまうんです。
そして呼吸が浅いのが続けば続くほど、肩周辺の筋肉は呼吸が深い時と比べると余計に働かなくてはいけないので、これによってだんだん首や肩の筋肉が疲労し硬くなっていき、肩こりを感じるようになるんです。
腹圧が低下して
上記でお伝えしたように呼吸が浅くなると、肩や首の筋肉が働き過ぎになる代わりに、横隔膜の筋肉やお腹の筋肉はあまり使用されない状態になります。
この状態が続くと、段々と横隔膜やお腹の筋肉が弱っていってしまいます。
そして姿勢を支えている時というのは、背骨とその周りの筋肉だけが働いているのではありません。骨の存在しないお腹の部分は腹圧(お腹の中の圧力)が骨の代わりとなって上半身を支えてくれる構造になっています。
これは言い換えると、腹圧が弱いとそれだけよい姿勢を維持することができないということです。
呼吸が浅くなって横隔膜やお腹の筋肉が弱ると、このよい姿勢を維持するために重要な腹圧を高めることができなくなるため、背中が丸まったり姿勢が悪くなりやすくなります。
姿勢が悪いと肩こりが起こりやすいというのは、最近たまにいわれることがあるよう、実際に姿勢が悪くなると背骨が本来持っているS字カーブが崩れることで首や肩の筋肉は硬くこりを作りやすくなります。
酸素不足に陥る
ほかにも呼吸が浅くなるということは、体の中の酸素が少なくなってしまうということです。
すると筋肉は酸素が少ない状態で働くと、とても疲労しやすくなります。
疲労した筋肉は柔軟性をなくし硬くなってしまいます。「こり」というのは簡単に言えば、疲労物質が筋肉に溜まることで硬くなり「こり」ができた状態で、これが肩の筋肉で起これば肩こり感じてしまうようになります。
また、酸素の少ない影響は肩の筋肉だけでなくその他の筋肉にも影響を与えるため、姿勢を維持する筋肉も疲労し正しい姿勢を維持できなくなってしまいます。
上記でもお伝えしたように姿勢は肩こと関係が深く、背中が丸まったりすると頚椎(首の骨)の本来持っている前弯のカーブが減少するため、カーブがクッション代わりになって頭の重たさをうまく分散していたのができなくなり、肩や首の筋肉にかかる負担が大きくなります。
そして姿勢が悪くなると頭の位置も本来よりも前の出てしまうことで、前に出たボーリングの球ぐらいある重たい頭を落とさないように支えるため、首や肩の筋肉が常に引っ張り続けることになるので負担が大きくなり、肩こりを発症してしまうことがあるんです。
ほかにも酸素の量が減ってしまうことで、頭がすっきりしないといったことも起こってきます。
自律神経が乱れ
また呼吸が浅くなると肩がこりやすくなる理由に自律神経の乱れがあります。
呼吸は自律神経との関わりが深く、自分の意思で自律神経のバランスを調整できる貴重な方法です。
ですが呼吸が浅くなってしまうと自律神経のバランスを崩すことになってしまい、交感神経が優位に働いてしまうことで血液の巡りが悪くりやすくなります。
血液の巡りが悪くなると疲労物質などの老廃物が流されないため、それらが蓄積することで肩こりを発生させやすくなってしまいます。
呼吸による肩こりを改善するためには?
このように呼吸が浅くなり肩こりが起こりやすくなった時の対処方法は、やはりしっかりと深く呼吸をすることです。
それによって横隔膜をしっかり使ってあげれば、それだけで肩周辺の筋肉の働く量は減りますし、腹圧を高め良い姿勢を維持することが行いやすくなります。
また酸素もしっかり取り込むことができるため、筋肉も疲労しにくくなり肩こりを感じにくくなります。
呼吸はどうしても無意識でおこなっていることが多いので、肩がこるという方はふとした時に自分の呼吸が浅くなっていないか?確認してみてくださいね。
そして呼吸を深くするためには、聞いたことがあるかもしれませんが、胸式呼吸と呼ばれる胸だけで呼吸をするのではなく、しっかりとお腹を膨らませてへこませる腹式呼吸を同時に行うことが大切です。
腹式呼吸を行うためにはまずしっかりと骨盤を立てることを意識してみてください。
呼吸が浅い方は骨盤が前や後ろに傾いてしまい、それによってそもそも姿勢が悪くなって胸がしっかりと広がらなくなっていることがあるからです。
なので骨盤を立てて姿勢を正してしっかりと胸を広がりやすくし、腹式呼吸で呼吸を深くすると、しっかりと酸素が取り込まれ腹圧が高まり正した姿勢が維持しやすくなり、継続して呼吸が深くなることで結果的に肩こりが改善しやすくなります。
かなり簡単に書きましたが、呼吸を深くすると肩こりになりにくくなるのはこういった理由です。
もう一呼吸を深くするためのポイントは、呼吸が浅い時にはしっかりと空気を吸い込もうとするよりも、まずはしっかり吐くことを意識してみてください。
しっかり体の中の空気を吐き出さないと、いくら新鮮な空気を吸おうとしても、すでに使用済みの酸素で肺の容量がいっぱいであるため取り込むことができません。
呼吸が浅くなっている人は、吸いこむ量が少ないことよりも、うまく体の中の空気を吐き出せていないことが多いんです。なのでいくら吸い込もうとしても吸い込めないんです。
呼吸を深くするためのストレッチ
肩こりを改善するために呼吸を深くするためには、胸がしっかりと膨らめないといけません。
そのためにはお伝えしたように、背中が丸まってしまっていたり、肩の位置が前にでて胸が閉じていると、呼吸の時に胸が膨らめないので深い呼吸の妨げとなるため、背すじを伸ばし胸を開けるようにする必要があります。
ここではそのためのストレッチをお伝えしていきます。
●大腰筋のストレッチ
大腰筋は腰からお腹を通り足につく筋肉で、この筋肉が硬くなってしまうことで体を真っ直ぐに伸ばしにくくなり、胸が膨らみにくくなってしまいます。
さらに大腰筋は横隔膜とつながっているため、大腰筋の緊張は横隔膜にも伝わり、横隔膜の動きを制限する要因となります。
●両足を前後に開いて立ち、後ろの足の膝を床につけ前後の膝を90度前後に曲げます。後ろ足の太もも裏に同じ側の手を当てます。
手で押すようにお尻を前に突き出し、股関節の付け根にツッパリを感じたところで15~20秒キープ。左右交互に行ってください。
●胸の筋肉のストレッチ
胸の筋肉が硬くなると、肩を前に引っ張るため肩が丸まりやすくなり、呼吸をするときに胸が膨らみにくくなってしまいます。
●片腕を軽く肘を曲げてあげて、壁などに手を当てます。そのままあげた腕と反対方向に体をひねってください。胸のあたりにツッパリを感じたところで15~20秒キープ。左右交互に行ってください。
●背中の筋肉のストレッチ
背中の筋肉は姿勢を支えるための重要な筋肉で、この筋肉が疲労していたり硬くなってうまく働けなくなると、背すじを正しにくくなってしまいます。
●両足を肩幅に開いて立ち、片腕を曲げて写真のように背中に手を当てます。反対の手で曲げた腕の肘をつかみ、背すじを正したまま体を横へ倒してください。
背中のやや側面にツッパリを感じたところで15~20秒キープ。左右交互に行ってください。
体を横に倒すときに背中が丸まったりしないように気を付けてください。
まとめ
とくに何かしたわけでもないのに肩こりを感じやすかったり、デスクワークをしていると段々息苦しくなり肩も重たくなってくる…、なんて時には呼吸が浅くなっている場合があります。
呼吸が浅くなり横隔膜しっかり働けなくなると、その分を肩や首の筋肉がカバーして、胸を膨らませて酸素を取り込もうとするため、肩や首の筋肉が疲労してしまうからです。
また体内の酸素の量が減ると筋肉は硬くなりやすく、姿勢も維持できにくくなるため、肩がこってしまうこともあります。
他にも呼吸が浅いと横隔膜やお腹の筋肉が使われず、段々と弱ってしまうことで、正した姿勢を維持するために重要な腹圧を高められなくなることで肩こりを起こしやすくなります。
なので呼吸を深くするためにも、上記でお伝えしたストレッチなどで硬くなった筋肉を整え、骨盤を立てて胸を膨らませやすくして、しっかりと息を吐いて呼吸を深くするための土台を作ってください。
普段から自分の呼吸の深さを意識している方は少ないと思うので、なんとなくいつも肩が重ダルい…という人は、一度自分の呼吸が浅くなっていないか確認してみてくださいね。
記事提供者プロフィール
かんばし まさとし
奈良県御所市からすぐ神橋筋整体院の院長
お客さんの8割以上が腰痛・首痛で病院や整骨院など、どこに行っても治らなかったという悩みを持ち来店される。
その多くの方が痛いところだけ揉んだり電気を当てたりといったその場だけの治療ではなく、姿勢や痛みの原因となる根本から整えていく独自の施術法で改善し支持を得ている。
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