パソコン作業で肩こりが治らない原因と対策
普段から仕事でパソコン作業が多くて肩がこるから、マッサージに行って肩をもんでもらったり、肩に電気を当ててもらうけれど、全然肩こりが治らない…と悩んでいませんか?
仕事などでパソコンを使用することが多く、キーボードをよく使うという方の中には肩こりで悩まれている方も多いはずです。
なのでマッサージへ行って肩をもんでもらったり、家でストレッチを検索して行うようにしたり、低周波を当てているといった人もいるでしょう。
それでもキーボードをよく使うという方は、すぐにまた肩がこってきたり、なかなか肩こりが楽になっていかないという事を多々聞きます。
肩のケアをしてはいるのに、一向に楽になっていかないのはなぜなのか?
今回はキーボードのように手先をよく使う方の肩こりがなかなか取れていかない原因と対策についてお伝えしていきます。
座る姿勢が悪い
パソコン作業をする方でなかなか肩こりが治らない大きな原因が、やはり座る姿勢の悪さです。
これは何度か聞いたことのある人も多いでしょうが、やはり普段の座る姿勢が悪いと、いくら肩のストレッチや体操をしたりマッサージでケアを行っても、すぐまた姿勢の悪さで肩周りの筋肉に負担がかかってしまうため、いたちごっこになってしまいます。
なのでここでは対策としてデスクワークなどでパソコン作業をするときの座る姿勢のポイントについてお伝えしていきます。
●骨盤を立てる
パソコン作業など、椅子に座るときには骨盤を立てて坐骨の部分で座ることが大切です。(下のイラストの赤丸部分が坐骨です)
これは骨盤は背骨の土台となる部分で、その骨盤を立てずに後ろに傾けてしまうと、腰が丸まってしまい背骨の本来持つS字カーブが崩れ、頚椎(首の骨)のカーブが減少し頭の位置が前に出てしまいます。
すると本来であれば頚椎のカーブのおかげで頭の重たさを分散できているのができなくなり、首や肩の筋肉にかかる負担が大きくなるため、肩こりを起こしやすくなる原因になります。
また頭の位置が前に出てしまうと、首や肩の筋肉で頭を前に落とさないために常に働き続けることになるため、段々と疲労して「こり」を作り出してしまいます。
なので骨盤をきちんと起こして、背骨のS字カーブを保てるように気をつけてください。
そのためのポイントはお腹とお尻で、お腹に軽く力を入れてお尻の穴を閉めるようにしてもらうと、腹圧が高まり骨盤が安定しやすくなります。
●軽く足を開く
女性だと少し気になるかもしれませんが、両膝をそろえて座るよりも、軽く足を開いて座るほうが骨盤が安定しやすくなるため、姿勢を正しやすくなります。
30~40度を目安に両足を広げて座るようにしてみてください。
●胸を開く
肩が丸まり前に出てしまっていると、肩甲骨が外に引っ張られて外側に歪んでしまうため、肩甲骨の動きが制限されてしまいます。
肩甲骨には肩や首の筋肉がたくさんついているので、肩甲骨の動きが悪くなるということは、それだけ首や肩の筋肉も動くことが減り、血液の巡りが悪くなり「肩こり」が起こりやすくなるということです。
なので胸を開くようにしてほしいんですが、この時あまりにも胸を張ろうと力を入れると、その状態ではしんどくてなかなか長時間良い姿勢を続けることができません。
なのできちんと骨盤を立てて背骨のS字カーブを整え、そのうえで肩の力を抜いて肩甲骨をわずかに内側に寄せるイメージを持ってみてください。
●頭を前に出さない
パソコン作業をおこなう時に頭を前に突き出してしまうと、首や肩には何倍もの負担がかかり肩こりになる原因になります。
顎を突き出したりうつむきにならないように気をつけ、軽く顎を引いて頭を前に出さないように気をつけてください。
机や椅子があっていない
パソコン作業で肩こりが治らない原因として、机や椅子があなたに合っていないことが考えられます。
机や椅子が合っていないと、姿勢を正したまま維持することが難しいからです。
ここでは机や椅子を選ぶ時のポイントについてお伝えしていきます。
●両足が地面につくように
パソコン作業をする時、椅子の高さは両足がきちんと地面につく高さにしてください。
足が浮いてしまうと踏ん張りがきかないため、骨盤を安定させにくくなり、長時間姿勢を維持するのが難しく、姿勢が崩れることで肩こりの原因となります。
●椅子が低すぎないように
椅子が低すぎるとどうしても骨盤が後ろに傾きやすく、土台となる骨盤が後ろに傾くことでその上に乗る背骨も本来のS字カーブを崩してしまい、頭の重たさをうまく分散できず、肩や首の筋肉にかかる負担が大きくなり肩こりを起こしやすくなります。
また無理に低い椅子で姿勢を正そうとすると、お腹の奥にある大腰筋という筋肉を過剰に働かせることで、大腰筋が疲労してしまい、腰痛を起こしたり姿勢を維持することが難しくなります。
だいたい床と太ももが平行になるくらいの高さの椅子がおススメです。
●ディスプレイの高さを調節する
パソコン作業をする際はディスプレイの高さも大切で、ディスプレイの位置が低いと背中が丸まりやすくなってしまいます。
位置の目安としては、「顔を正面に向けた時、ディスプレイの上端が見えるくらいの高さ」です。
●腰の部分に前弯のカーブがあるものがおススメ
さらに背もたれの部分は、真っ直ぐ直線のものよりも腰の部分が緩く前弯のカーブを描いているものがおススメです。
腰の部分に前弯があると、それに沿って座ることで背骨のS字カーブが作られ姿勢を正しやすく、肩や首の筋肉に負担がかかりにくくなるためです。
実際に当店のカウンセリングを行う時の椅子は、腰の部分が前弯を描いているんですが、この椅子だと姿勢を正しやすいというお客様が結構いらっしゃいます。
●シートの部分は少しクッション性のあるもに
仕事などで長時間パソコン作業をする場合は、椅子のシートの部分は少しクッション性のあるものがおススメです。
シートの部分が硬すぎると、短い時間はいいですが、長時間になると太ももが圧迫され続け痛くなったり疲労し、姿勢を正し続けるのが苦痛になってくるからです。
ただしやわらかいソファーのように、クッション性が高すぎると背中が丸まり肩こりの原因になるため気をつけてください。
座ってできる肩こり予防のストレッチ
姿勢や椅子の高さなどに気をつけることもパソコン作業で肩こりにならないためには大切なことです。
さらにパソコン作業の途中やそのあとで肩周りの筋肉のケアをしてあげることも、肩こりを治したり予防するのに大切です。
ここでは肩こり対策として、座ったまま行える肩周りの筋肉のストレッチをお伝えしていきます。
●両手を頭の後ろにまわして、背筋を伸ばしたまま両手で頭を前に倒してください。首の後ろから背中にツッパリを感じたところで20~30秒キープ。
●片手を背中にまわし、反対の手を頭の後ろにまわして、背筋を伸ばしたまま頭の後ろにまわした手で頭を斜め前に倒してください。首筋にツッパリを感じたところで20~30秒キープ。左右交互に行ってください。
●息を吸いながらゆっくりと両腕を上げ、頭の上で手のひらを合わせます。
そこから息をはきながら、手のひらを外側に向け、ひじを少し後ろに引い腕を胸の位置まで下ろしていき、胸の位置で止めます。
腕を下していく時は、左右の肩甲骨を中央に寄せるよう意識してください。
肩以外にこりの原因がある
肩こりなので当然肩周りの筋肉が緊張し固くなっているため、肩周辺のケアも確かに大切なんですが、それ以外にも上記のようにキーボードをうったりする姿勢や、長時間同じ体勢でいないように体を動かすこともとても大切です。
ここがおろそかになると、必要以上に肩や首の筋肉に負担が蓄積したり、肩の筋肉の血液のめぐりが悪くなるため、いくら肩をマッサージしたりストレッチを行っても追いつかず、こりを発生してしまいます。
ただ、こういった姿勢などを気を付けていても、パソコン作業でキーボードなど手先をよく使う人の中には肩こりが改善しない方もかなりいます。
これはどうしてか?というと、肩以外にこりを作る原因があるからです。
キーボードを使うときって肩だけ使うわけでなく指や手、それらを支えるために腕も使いますよね?
これらは肩と密接に関係していて、そういった部分の筋肉が疲労し固くなるとそれが肩こりの原因となるんです。
特にキーボードを多用される人の肩こりと関係が深いのが、胸の筋肉、腕橈骨筋、手首です。
肩以外のこういった部分を一緒にケアしていかないことで肩こりがなかなか治らなくなってしまいます。
肩を丸める胸の筋肉
キーボードを打つときはやはり腕を体の前に出して打ち込みますよね。
その状態が長くなると段々胸の筋肉が縮まった状態で固まっていきます。
胸の筋肉が固くなると肩は丸まり、肩甲骨が外へ引っ張られます。
こうなると、姿勢も背中が丸まりやっすくなり、肩甲骨が動きにくくなることで、肩甲骨につく肩こりの筋肉も固くなっていきこりを感じだします。
なので胸の筋肉もケアしてあげて、姿勢を正しやすくし、肩甲骨の動きが悪くならないようにすることが肩こり改善に必要になってくるんです。
対策・胸の筋肉のストレッチ
●胸の筋肉を伸ばす方の手を軽く肘を曲げ、腕を上げて壁に添えます。
そこから体を捻っていき胸の筋肉につっぱりを感じたら15~20秒キープしてください。
手先を動きやすく補助する腕橈骨筋
キーボードを打つときは肘を軽く曲げて、手の甲を上に向けてうちますよね?
この時に指先を動きやすくするために、この腕の状態をキープしてくれる筋肉が腕橈骨筋という筋肉です。
なので長時間キーボードを使用していると、段々腕橈骨筋が疲労し固くなってきます。
そうすると、腕橈骨筋だけでは腕をその状態でキープする事が出来なくなってきて、その分を肩周りの筋肉が必要以上に働きカーバーし始めます。
その肩周りの筋肉が働きすぎることによって肩こりがひどくなってしまうんです。
なので肩の筋肉に負担をかけないようにするために、腕橈骨筋がしっかり腕を支えられるようにケアしてあげることが必要になります。
ちなみに腕橈骨筋というのは、
上の写真の赤丸の部分に筋肉のふくらみが見えますよね。それが腕橈骨筋です。
対策・腕橈骨筋のストレッチ
正座の様な状態で床に座り、身体を前傾させ手の甲側へ手首を反らせ両手を指先を自分の方に向けて床につけます。
そのまま両手に体重をかけていき腕にツッパリを感じたところで15~20秒キープしてください。
キーボードを打つときに手首を反らせる筋肉
パソコン作業などでキーボードを打つときは指を動きやすくするために手首はだらんと下げるのではなく、軽く反らした状態をキープしますよね。
この手首を反らす筋肉は腕から手へとつながっているんですが、長時間のキーボードの使用でこの筋肉は縮んで固くなって働きが低下していきます。
そうなると先ほどの腕橈骨筋のようにそのしわ寄せは肩周辺の筋肉にかかってくるんです。
なので手首を動かす筋肉をケアしてあげることで余計な肩の負担を減らすことができるんです。
対策・手首のストレッチ
片方の肘を曲げて、ストレッチを行う反対の手で、手のひらを下に向けて曲げていきます。
腕につっぱりを感じたら15~20秒キープしてください。
この方向以外にも、例えば手のひらを上に向けたり外に向けて行ったり、色々な方向で行っていただくとさらに効果的です。
まとめ
パソコンをよく使用する人で、肩こりが治らない…と悩んでいる人は少なくないでしょう。
まず大切なのはパソコン作業をするときの姿勢です。これが悪ければ、常に肩周りの筋肉に負担をかけ続けることになるので肩こりが治りません。
そして姿勢を正せるようにするために、椅子の高さや机の高さにも気をつけてください。
これ以外にも、キーボードをよく使用される人の肩こりはたんに肩の筋肉が固くなっただけではなく、
キーボードを使用するときに使う腕や手首も疲労し固くなり、余計に肩に負担がかかったり、姿勢をよくしようとしても胸の筋肉の緊張でそれが難しくなったり、そういった下地の上に肩のこりができているんです。
なのでいくら肩だけケアをしてもなかなかよくなっていかない人が多いんです。
あなたがもしキーボードや手作業をすることが多く、肩のストレッチやマッサージなどを行ったり、受けても一向に肩こりが改善しない時には腕や胸の筋肉のケアも参考にしてみてくださいね。
記事提供者プロフィール
かんばし まさとし
奈良県御所市からすぐ神橋筋整体院の院長
お客さんの8割以上が腰痛・首痛で病院や整骨院など、どこに行っても治らなかったという悩みを持ち来店される。
その多くの方が痛いところだけ揉んだり電気を当てたりといったその場だけの治療ではなく、姿勢や痛みの原因となる根本から整えていく独自の施術法で改善し支持を得ている。
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