頚椎ヘルニアでデスクワークの際に
知っててほしい事
仕事でパソコン作業などのデスクワークが多いからなのか、首や肩に痛みや痺れがあって、病院を受診して診断された頚椎ヘルニアが治らない…と、悩んでいませんか?
頚椎ヘルニアで慢性的に首に痛みを感じていたり、肩から腕にかけて痺れやダルさで悩まれている人もいるでしょう。
そんな頚椎ヘルニアの場合、デスクワークやパソコン作業を頻繁にされている方は症状が悪化してしまったり、なかなか治っていかない人が多いです。
今回は、頚椎ヘルニアの人に知っておいてほしいデスクワークやパソコン作業の際に症状の悪化を防ぎ改善していくための7つのポイントについてお伝えしていきます。
なぜデスクワークの人は頚椎ヘルニアが治りにくい?
まずはなぜデスクワークの人は頚椎椎間板ヘルニアが治りにくいのか?なんですが、頚椎ヘルニアというのは簡単に言うと、首に過度の負担がかかり続けることで発症してしまいます。
そしてデスクワークやパソコン作業というのは、首にとても負担がかかりやすい作業なんです。
デスクワークで首に負担がかかってしまう原因としては「頭の位置が前に出て頚椎の前弯のカーブが失われやすい」「目を酷使する」「動くことが少なくなる」の3つが特に大きく関わっています。
なので頚椎椎間板ヘルニアを治していくためには、デスクワークやパソコン作業時に、これらを踏まえてできるだけ首に負担がかからないようにしていく必要があります。
1、頭の位置を正す
頭は意外に重たくて、だいたいボーリングぐらいの重たさがあります。なので首の筋肉はそんな重たい頭を支えるために常に働いてくれているんです。
通常通り頭の位置が背骨の上にある場合は安定するために首の筋肉はそれほど働かなくてすみます。
それがデスクワークではパソコンをのぞき込んだり、手元を見ようと知らず知らずに頭の位置が前にいくことによって、首の筋肉は頭を前に落とさないために必要以上に働くことになり、それが首に負担をかけてしまうんです。
(だいたい3cm頭の位置が前にいくことで首や肩には正常な位置の倍の負担がかかると言われています。)
さらに上の写真のように頭が前に出てしまうと、頚椎の本来ある前弯のカーブが減少したり失われてしまいます。
頚椎の前弯のカーブがあるおかげで、それがクッション代わりになって頭の重たさを分散してくれているんですが、そのカーブが減少・消失してしまうと、頚椎にかかる負荷が大きくなってしまうため、頚椎椎間板ヘルニアを発症したり悪化させてしまいます。
なので頭の位置が前に出てきてしまわないように、前傾姿勢にならないよう椅子に深く座るようにして顎を突き出さずに引いたり、パソコン作業の場合はディスプレイの高さを調節してください。
首にストレスの少ないディスプレイの高さというのは「モニターの上端が目の高さよりもやや下」だと言われ、さらにディスプレイと目のあいだは40センチは離してください。
この位置だと頭が前に突き出されることなく首が自然なカーブで固定され、目線がやや下気味になるので目の周りの筋肉も無理がありません。
2、背すじを正す
上記のように頚椎椎間板ヘルニアを発症させる頚椎への負担は頭の位置に関係しますが、背すじが丸まってしまっていると頭の位置を正そうとしても長時間続きません。
また上記でお伝えしたように頚椎の前弯のカーブを保つことも大切なんですが、腰や背中が丸まると背骨の本来あるS字カーブがなくなるために、首の前弯のカーブも減少し、首の椎間板にかかる負担が大きくなってしまい頚椎椎間板ヘルニアに悪影響を及ぼします。
なのでデスクワークの際は、背すじを伸ばし姿勢を整えて作業をおこなう必要があります。
そして姿勢を正して作業するためのポイントは骨盤を起こして坐骨で座ることです。
(上のイラストの赤線の部分が坐骨です)
骨盤は背骨の土台となる部分であるため、この土台の部分が後ろや前に傾いてしまっていては、骨盤の上に乗っかる背骨を正すことは非常に困難です。
なので土台である骨盤を起して坐骨の部分で座ることによって、背骨は本来のS字カーブを描けるようになるのです。
さらに骨盤を起こして座るためにも、下腹を縦に伸ばすようなイメージで力を軽く入れてもらい、お尻の穴を閉めるようにしてください。
そうすることで骨盤を立てたままで安定させやすくなるため、骨盤を起こして長時間座りやすくなります。
またデスクワークの際に、椅子の高さが膝と股関節が90度よりも折れ曲がってしまうような低いモノは背中が丸まりやすくなり、首に負担がかかるために避けてください。
反対に足が地面にしっかりとつかないほど高い椅子だと、足を使って上半身を支えることができないために長時間姿勢を正すことが難しいため、避けるようにしてください。
3、肩を丸めないようにする
デスクワークの際には頭と同じように、肩の位置も前に出てしまいがちです。
肩の位置が前に出てしまい肩が丸まってしまうと(巻き肩)、肩甲骨の動きが制限され、そこにつく首や肩の筋肉の動きも減るために、首周辺の筋肉が動かないことで硬くなり、頚椎椎間板ヘルニアに悪影響を与えます。
そのため、デスクワークの際には肩の位置も前に出さないようにすることが大切です。
長年このような姿勢で作業されていた人の中には、肩甲骨につく筋肉が硬くなり、肩の位置が前に出たまま固定されてしまっている人も少なくないため、無理に肩を後ろに引くのでなく、その前に前方に出た肩を元の位置に戻りやすくしてください。
本来より前に出た肩を戻すためには、肩を前に引っ張る主犯の筋肉の、胸の筋肉や前鋸筋というわきの筋肉を緩めてあげることが効果的です。
ここではそれらの筋肉のストレッチをお伝えします。
胸の筋肉のストレッチ
●肩の骨と胸板の間辺りに片手をあて、その手で上外後方に肩を押していきます。肩が開いたところで15~20秒キープしてください。
●胸の筋肉を伸ばす方の手を軽く肘を曲げ、腕を上げて壁に添えます。
そこから体を上げた腕とは反対に捻っていき、胸の筋肉につっぱりを感じたら15~20秒キープしてください。
前鋸筋のストレッチ
●床によつんばいになり、手を肩幅より開いて肘を伸ばします。
そこから肩を入れ込むようにして胸を下げていきます。
脇から肩にかけてツッパリ感がでてきたところで15秒~20秒キープしてください。
デスクワークの場合はどうしても肩の位置は前に出やすいですが、上記のストレッチをおこなって筋肉をほぐしながら、普段から肩甲骨を少し背骨に向かって内下方に寄せるように意識してみてください。
4、こまめに動くようにする
デスクワークやパソコン作業の時にはどうしても座ったままで動くことが減ってしまいがちです。
この動くことが減るというのは、思いのほか体にとっては大きな負担で、いくら姿勢を正していても、長時間同じ姿勢だと首にも同じ部分ばかり負担がかかりやすくなってしまいます。また筋肉も動かないことで伸び縮せずに固まってしまい、姿勢を保持する働きが低下して、良い姿勢を保つことが難しくなってきます。
血液の流れも筋肉を動かさないことで悪くなり、新鮮な酸素やエネルギーが送られず、老廃物や疲労物質なども流れにくくなってしまい、頚椎椎間板ヘルニアに悪影響を与えますので、30分~1時間に一度は数十秒でもいいので立ち上がって歩いたり体を動かすように気を付けてください。
そのためにも個人的にはこの時間になると動くという時間を、前もって決めておくことがおすすめです。
デスクワークやパソコン作業のきりのいいところでと考えていると、実際に作業をしていると、なかなかそんなタイミングよく適当なところはやってきませんので。
またデスクワークやパソコン作業の多い仕事だと、どうしても普段から体の動かす機会が少なく運動不足になりやすく、運動不足になって筋力が低下してしまうと、姿勢を維持する筋肉まで落ちて姿勢が崩れやすくなるため、普段から運動習慣をつけたり、意識して体を動かすように心がけてください。
ここでは座ったまま行える肩や首周りの筋肉のストレッチをお伝えします。ちょっとした作業の合間に行ってみてください。
●両手をバンザイして、手のひらを後ろに向けてください。その体勢のままめいいっぱいさらに両腕を上に伸ばして20~30秒キープ。
腕を上の伸ばす時に体が反ってしまわないように注意してください。
●両手を頭の後ろで組んでください。両手でゆっくり頭を前に倒して首の後面が少し伸びてきたところで15~20秒キープ。
頭を前に倒す時は背すじを伸ばして背中が丸まらないように注意してください。
※ストレッチを行った時に痛みが出たり、後に症状が悪化する場合はおこなわないようにしてください。
5、腕に疲れをため込まないようにする
デスクワークやパソコン作業では腕や手もかなり酷使してしまいますよね。
腕の筋肉が疲労し硬くなってしまうと、それを支える肩から首周辺の筋肉の負担が大きくなり、頚椎椎間板ヘルニアに悪影響をもたらします。
また腕の筋肉自体も手から肘へ、肘から肩へとつながっているため、手先や腕の筋肉の疲労は肩や首へと伝わっていきます。
腕が疲労しにくくなるように、作業を行う位置はできるだけ体から離しすぎず近づけておこなうようにしてください。
また、手先を使うことで腕はどんどん疲労していくため普段からストレッチなどでケアを行うようにしてください。ここでも一つ腕の筋肉のストレッチをお伝えします。
腕の筋肉のストレッチ
●正座の様な状態で床に座り、身体を前傾させ手の甲側へ手首を反らせ両手を指先を自分の方に向けて床につけます。
そのまま両手に体重をかけていき腕にツッパリを感じたところで15~20秒キープしてください。
6、目を休める
デスクワークやパソコン作業の時には、かなり目を酷使するため、目の疲労を感じている人も少なくないでしょう。
目と首の筋肉は連動して働いており、目を酷使し続け目の周りの筋肉が緊張し硬くなると、その分首の筋肉が視点を合わせるために微調整をおこなうため、過剰に働き頚椎椎間板ヘルニアの症状を悪化させやすくなります。
なので普段から目の疲れをとってあげるためにも、作業の合間に目を休める時間を作ったり、しっかりとす睡眠時間を確保して目を休めるように心がけてください。
そのほかにも、目の周りを指で優しくマッサージしてあげたり、ハンドタオルを水に濡らしてラップでくるんでレンジで温め、それを目の上にあててあげるなども、目の周りの血液を巡らせ疲労をとるために効果的です。
7、体を冷やさない
デスクワークやパソコン作業中に意外に多いのが体を冷やしてしまうことです。
体を動かすことが少ないため、冬場であれば暖房がはいっていても足元が冷えてしまったり、夏場でもクーラーによって体を冷やしてしまうことがあります。
冷えは万病のもとと言われることもあるように、頚椎椎間板ヘルニアにも悪影響を与えます。
冷えによって熱を逃がさないため血管が収縮したり、筋肉の柔軟性が低下して血管やリンパを圧迫することで、血液の巡りが悪くなってしまうと、首や肩周りの筋肉への血も巡りにくくなるため、さらに硬くなりやすく疲労物質が溜り、働きが低下してしまうためです。
なので冬場だけでなく、クーラーを使用する季節にも体を冷やさないよう、薄い上着を羽織ったり、足元や太腿、お腹などにタオルをかけるなどして対策をとってください。
椎間板は非常に回復しにくい
ここまで頚椎椎間板ヘルニアの人がデスクワークやパソコン作業の時に知っておいてほしいことや、改善のための対策をお伝えしてきましたが、大切なのは即実践することです。
というのも椎間板は人体で最大の無血管組織と言われており、字の通り血管が存在していないため、非常に修復・再生されにく組織なんです。
つまり、一度椎間板が変性を起こしてしまったり、損傷してしまうといつまでたってもそのままであり、すでに頚椎椎間板ヘルニアを発症しているなら、なおさらそのまま今までと同じようにしていると椎間板は悪化していく一方なんです。
もちろん椎間板の変性や損傷が悪化すれば、突出した頚椎の椎間板はさらに突出してしまったり、今ヘルニアの起きている上下などでも頚椎ヘルニアを発症してしまう可能性もあります。
なのですでに変性し突出してしまっている椎間板やそれ以外の椎間板のためにも、即行動を起こすことが大切なんです。
まとめ
デスクワークやパソコン作業を頻繁にされる方で、頚椎椎間板ヘルニアが治らない…と悩んでいる人も少なくないでしょう。
これはデスクワークは動きが少ない割に、というか動きが少ないせいもあり、目を酷使したり、頚椎の前弯のカーブが減少する姿勢になりやすいため、非常に頚椎に負担がかかりやすい作業です。
なので頚椎椎間板ヘルニアと診断された方で普段からデスクワークが多い方はなかなか治りずらかったり、逆に悪化してしまうこともしばしばあります。
そして椎間板は無血管組織であるため、非常に修復・再生がされにくい組織であるため、今回お伝えしてた7つのポイントを参考に、できるだけ速やかに行動に移し、頚椎にかかる負担を減らせるように努めてみてください。
ちなみに頚椎ヘルニアの方は、頭を後ろに反らす動きは頚椎にすごく負担がかかる動作なので避けるべきなんですが、
椅子に座って背中を丸めて正面を向くために頭を上げる動きは、首を反らす形になってしまっているので、知らず知らず頚椎椎間板ヘルニアを悪化させてしまっていることがあります。
姿勢くらいと思わずに、毎日のことなので注意してくださいね。
記事提供者プロフィール
かんばし まさとし
奈良県御所市からすぐ神橋筋整体院の院長
お客さんの8割以上が腰痛・首痛で病院や整骨院など、どこに行っても治らなかったという悩みを持ち来店される。
その多くの方が痛いところだけ揉んだり電気を当てたりといったその場だけの治療ではなく、姿勢や痛みの原因となる根本から整えていく独自の施術法で改善し支持を得ている。
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