便秘で腰痛になる理由と治す方法
突然腰痛が襲ってくることがちょこちょこあるけれど、よくよく考えると便秘の時に多いような気がする…。便秘と腰痛ってなにか関係があるの?と疑問に思っていませんか?
便秘気味になってくると腰痛が出てくるという人は少なくありません。
数日強い腰痛に悩んでいたのが、便秘の解消と共に腰痛もおさまったといった声も聞くことがあります。このように便秘は腰痛の原因となることがあるんです。
そこで今回は一見すると関係がないように思える便秘と腰痛ですが、便秘が腰痛の原因となる理由と治し方についてお伝えしていきます。
便秘が腰痛の原因になる3つの理由
便秘が腰に与える影響は多々ありますが、ここではよく見られる便秘が腰痛を引き起こす3つの理由についてお伝えしていきます。
1、ガスが血管や神経を圧迫する
便秘というのは簡単に言うと、腸の蠕動運動に問題が起きて便が大腸の中で長くとどまることで、水分がどんどん吸収されて硬い便になってしまい、硬くなった便は腸内で動かなくなり、さらに便がたまってしまう状態です。
そして便秘の状態が三日程度続くと、腸内に停留している便の腐敗が進んで悪玉菌が大量に増え、便から臭いの原因にもなるガス(有害物質)が発生します。
その便から発生したガスが血管を圧迫することによって、腰回りの筋肉が緊張し硬くなってしまいます。
硬くなった筋肉は柔軟性を失うことによって働きが低下して、普段と同じような生活をしていても、その負荷に耐え切れずに腰痛を発症してしまうことがあります。
そして硬くなった筋肉は伸び縮みがしづらくなることで、さらに血液の巡りが悪くなり、疲労物質や老廃物を運ぶことができなくなり、それが腰痛を引き起こすこともあります。
ほかにもガスが神経自体を圧迫して腰痛を発症させることもあります。
2、ガスが血液に入り込む
便秘で発生したガスはその一部が腸壁を通って血液に入り込んでいきます。
そのガスによって質が悪くなった血液は血流を悪化させ、本来の働きである筋肉への栄養や酸素の運搬、老廃物の回収を充分に行えなくなります。
その結果、腰周辺の筋肉がだるくなったり、疲労感が出たり、鈍い痛みを感じるようになります。
また栄養や新鮮な酸素が届かなくなることで、自然治癒力も低下してしまうため、日常生活でできた腰の筋肉の小さな傷が回復しきれず、蓄積されていくことで段々と腰痛を起しやすくもなって行きます。
3、お腹が出てしまう
便秘によって溜まったガスや便によってお腹がポッコリと出てしまう経験はあると思います。
そしてお腹がポッコリと出てしまった状態でバランスを取ろうとして姿勢が崩れてしまうことがあり、この姿勢の崩れが腰痛の原因になってしまいます。
例えば、お腹がポッコリ出てしまった状態だと重心が前に傾きやすくなるので、腰の部分を反らせてバランスをとろうとする方は少なくありません。
上の写真のように便秘によってポッコリ出たお腹に引っ張られて反らした腰の部分にかかる負担は大きくなり、これが腰痛を発症させてしまうことがあります。
また中にはポッコリ出たお腹を目立たさないようにと、お腹を引っ込めるように猫背気味の姿勢をとる方もいらっしゃいます。
上の写真のように、お腹をひっこめて背中から腰を丸めた姿勢も腰椎(腰の骨)の前弯のカーブが消失してしまうため、腰周りの筋肉に負担をかけて緊張しやすくなり腰痛を発症しやすくなります。
便秘と腰痛に効果的に改善方法
上記のように便秘は腰痛を発症させてしまう原因になります。
ここからは便秘にも腰痛にも効果的な治すための改善方法をお伝えしていきます。
両者の改善のためのポイントとなるのは、自律神経の働きを整え、腸の働きを改善し、血液の巡りを良くしていくことです。
ストレスで腰痛が起こるといったことを聞いたことがある人もいると思います。またストレスで便秘になるということも聞いたことのある人もいるでしょう。
これはどちらも間違いでなく、ストレスをため込むことで自律神経のバランスが崩れてしまうと、血液の巡りが悪くなることで腰痛を起しやすくなります。
そして腸の働きは自律神経によってコントロールされているため、自律神経が乱れてしまうと腸の働きも異常を起してしまいます。そして異常を起こした腸は一部が狭まってしまうことで便が通りづらくなってしまい、狭まった道をゆっくりと便が押し出されていくうちに、どんどんと便の水分が奪われてカチカチになり便秘になってしまうんです。
このように自律神経の働きは便秘と腰痛とどちらも大きく関係しているんです。
冷え対策をおこなう
冷えは腰痛と便秘の両者に影響を与え、体が冷えてしまうと血液の巡りが悪くなってしまうことで、内臓への血液の巡りも不十分となります。
すると血液の巡りが不十分だと働きが低下するのは腸も同じで、便を押し出す力も低下してしまい、便が長時間、腸内にとどまることでどんどんと水分が吸収されて便秘を起こしやすくなります。
もちろん冷えで血液の巡りが悪くなってしまうと、腰の筋肉へ新鮮な酸素や栄養が運ばれず、疲労物質などの老廃物が溜まることで腰痛を起しやすくなります。
このように便秘と腰痛に大きく関わる体の冷えを改善させるためには、一つは運動習慣が大切です。
運動によって筋肉が刺激されれば熱を作り出し筋肉が血液を押し流し、基礎代謝が上がることで冷えを予防することができます。(便秘の解消にも運動は効果的なのでもう少し詳しくは後程お伝えします。)
そしてお風呂でしっかりと体を温めることも冷え対策に役立ちます。
体全体をしっかり温めてあげることで、血流が改善し腰の筋肉を緊張緩和してくれまし、腰と腸の血管はつながっているので、腰部を温めることは腸の血流を改善することにつながりからです。
どうしても一人暮らしの人なんかはシャワーで済ませるなんてこともあるでしょうが、やはり湯船に浸かる方が血流や代謝が向上するので、2~3日に一度は湯船に浸かってしっかり体を温めるようにしてみてください。
また湯船に入ることはリラックス効果が高く、自律神経の副交感神経を優位にしてくれます。
副交感神経が優位になると腸が働きやすくなるため、これも便秘の改善にもつながります。
そしておなかに適度な水圧がかかるので胃腸のマッサージ効果も期待できます。
ただし、腰痛の強い時にお風呂に入ると痛みが増すこともあり、熱いお湯につかることも交感神経を優位にさせてしまったり、短い時間しか湯船に浸かることができないため、体の表面しか温まらず深部が冷えたままのこともあるため注意してください。
ほかにも冷え対策として腹巻きもおすすめです。
腹巻を使用することでお腹の中にある内臓の冷えを予防できるため、腸の働きも活発になりやすく便秘の解消や予防にも効果があります。
そして腹巻は腰巻でもあるため、腰の筋肉を温め血液の流れがよくなることで腰痛の改善にも一役かってくれます。
水分をしっかりと飲む
便秘の原因の一つは便の水分が不足していることで、水分を取り入れることが少ないと、便の水分量も減ってしまいカチカチになって便秘を起こしやすくなります。
ですので普段から水分をしっかりととるようにしてください。
目安としては1日の水分摂取は「30ml×体重kg」と言われていて、体重が50kgの人であれば1,5㍑が目安となります。
ただしそれれじゃあガブガブと水だけを飲んでいれば便秘は解消されるのか?というとそんな単純な話でなく、食物繊維が少ない食事だと、水の摂取だけを増やしても腸内に滞在している内にどんどん水分が吸収されてしまうため、やはり便がカチカチになってしまうので効果が少なくなります。
なので便の水分量をふやして腸内滞在時間を短くするためにも、水分を意識的にしっかり飲むようにする時には、水溶性食物繊維を含む海藻類・キノコ類・果物類の摂取を増やすことで便秘解消の効果が高まります。
あと水分であれば何でもいいわけではなく、利尿作用のあるのあるお酒やカフェインの入った紅茶や珈琲は便秘解消の水分補給には向かず、これらで目安の水分量を摂取しても十分とは言えません。
お腹のマッサージや体操を行う
硬くなっていた腸をマッサージで和らげることで、血行も良くなって温かくなり、腸の働きが活性化しやすくなります。
またお腹周りが硬くなってしまうと、お腹周りの筋肉に体が引っ張られて姿勢が崩れやすくなり腰に負担をかけてしまうため、お腹をマッサージで緩めてあげることで姿勢を正しやすく、腰にかかる負担を軽減しやすくなります。
●マッサージの方法としては、簡単で効果的なのが、
1、おへその上に手のひらを置いて、その周辺をさすります。
2、おへその上に指を閉じて指先を置き、指先で「の」の字を書くようにマッサージを行います。
3、指先で腸の固くなっているところをピンポイントでほぐしてください。
●うつ伏せ運動は、床を使って腸全体に刺激を与えることができるので、マッサージするのと同様に便秘に良いと言われています。
1、うつ伏せになってお腹をペタッと床につけてそのまま10分間寝た姿勢を保つ。この時できる人は両腕を真上に上げてください。
2、両手を真上に上げて右に左に5回ほどゴロゴロと半回転して転がってください。
普段から姿勢を正す
普段の日常生活から姿勢を正してあげることで、お腹や背中の筋肉を使うことができて腰の筋肉の働きをカバーしてくれることで腰の負担が軽減したり、腰椎(腰の骨)の前弯のカーブが描かれることでそれがクッション代わりになって、腰にかかる負担を減らしてくれることで腰痛改善につながります。
また、姿勢をただし背骨を本来のS字カーブを描くようにすることで、自律神経が整いやすくなり腸の働きが改善することで、蠕動運動によって便が排出されやすくなることで便秘解消の助けになります。
反対に猫背のように背中を丸めたり姿勢が悪いことで、腰椎の前弯のカーブが崩れてしまい、腰にかかる負担が大きくなるため、腰痛を発症しやすくなるので気を付けてください。
姿勢を長時間保つためのポイントは、お腹に力を入れてお尻の穴を閉めるようにすることです。
こうすることで腹圧が高まり、この高まった腹圧が体を支えてくれるので姿勢を正しやすくなります。
適度な運動を行う
運動不足になってしまうと体の筋力がどんどんと低下していき、お腹周りの筋力が低下してしまうことで、消化した食べものを小腸から大腸へ移動させたり、食べものの残りカスである便を体外へ排出させたりする「腸の蠕動(ぜんどう)運動」が低下してしまうため、便の排出する力が弱まり便秘を起しやすくなります。
また腰周りの筋肉も運動不足になることで血液の流れが悪くなり、柔軟性が落ちていくことで腰痛を起こしやすくなります。
そのため、適度な運動習慣を身に着けることで筋力が維持できて、血流・代謝が促進されたり、筋肉が柔軟性を保つことで腰痛と便秘の両方の改善に役立ちます。
おすすめの運動は有酸素運動で、有酸素運動は副交感神経のリズムを整えて蠕動運動を活発にする効果があり、腰痛の改善にも効果的だと言われています。
目安としては毎日20~30分のウォーキングをまずは取り入れてみてください。
後は運動以外でも日常生活で買い物に行くときには自転車を使用したり、車でもお店から遠い駐車場に止めたり、階段を使用するようにしたり 、意識して体を動かすようにしてみてください。
ただし運動と言っても、あまりに激しいモノだと体への負担が大きいため腰痛が悪化することがあります。
そのほかにもズキズキと痛みが強い時や、体を伸ばすのもつらいほど腰痛が強い時などは、運動によって悪化することがあるので気を付けてください。
食生活をバランスよく
先ほど水分のお話の時にお伝えしましたが、食べるものによって便の水分量が少なくなってしまい便秘になりやすくなるため、水溶性食物繊維を含むモノをしっかり食べるようにしてください。
ほかにも例えばレトルト食品やファストフード、コンビニ弁当など野菜が少なく高カロリーに偏った食べ物は、腸内に老廃物や毒素がたまりやすい傾向にあるため、便秘の原因になります。
腸の働きを活発にして便秘を解消するためにも、脂質、炭水化物、糖質、ミネラル、ビタミンという五大栄養素をバランスよく食べるように心がけてください。
さらにヨーグルトなんかは便秘に良いと聞いたことがあるかもしれませんが、実際に乳酸菌を含む食べ物や発酵食品を朝食に摂り入れることで、腸内の環境が整うため、便秘が解消されやすくなります。
糖分は腸内に存在する悪玉菌の大好物で、甘いものばかり食べていると腸内に悪玉菌が増えて腸の働きを低下させ、便が排出されにくくなるため、ケーキやお菓子などの甘いものの食べ過ぎには注意してください。
食事内容と共に食事の時間もばらばらでなく規則正しく摂ることで、特に朝食をしっかり食べると、腸の動きが活性化され便が適度な大きさになり、便通がよくなります。
生活リズムを正す
自律神経が腰痛と便秘に深くかかわることはお伝えしましたが、自律神経には活発に活動している時に働く交感神経と、リラックスしている時に働く副交感神経の二つがあり、本来はこの2つの神経の働きが交互にバランス良く働いています。
これが残業や夜更かしで寝る時間が遅くなったり、朝なかなか起きることができずに起きる時間が遅くなったり、生活リズムが日によってバラバラだと、交感神経と副交感神経の切り替えがうまくいかなくなり自律神経が乱れてしまいます。
また食生活のリズムは便秘と大きく関わっていて、食べる時間がいつもバラバラで食べ物が入ってくるのが不規則になると、腸にとっては便となる材料があってほしい時になくて、休みたい時に働かされるという状態になってしまうため大きな負担がかかり、段々と腸は正常に働けなくなり、便秘になりやすくなるんです。
このように生活リズムが乱れてしまうと、自律神経が乱れて腰痛や便秘が解消されなくなるため、普段の日常生活で生活リズムを整えることを意識してください。
寝不足禁止
上記でお伝えしたように腸の働きは自律神経によって調節されていて、リラックスしているときに働く副交感神経が優位の時に活動する仕組みになっています。
睡眠中というのは、リラックスしている時に優位になる副交感神経によって、腸などの消化器官の動きも活発になり、夕食に食べたものを小腸から大腸へと運び便が作られます。
これが睡眠不足になって副交感神経がうまく働けないと、腸の働きも落ちてしまい便がうまく作れなかったり、蠕動運動によって便を排出できなくなるため、便秘を起しやすくなります。
また日常生活で使用されて傷ついた腰周りの組織も、睡眠時に高まる自然治癒力によって回復しますが、睡眠不足になると自然治癒力が低下してしまい、傷ついた組織がそのままの状態で翌日を向かえることになるため、腰の筋肉の働きも低下しちょっとしたきっかけで腰痛を起しやすくなります。
なので便秘や腰痛を解消するためには、しっかりと睡眠時間を確保して寝不足にならないようにしてください。
ストレスをため込まない
上記でもお伝えしたように、過度のストレスは自律神経を乱すことで胃腸の働きを低下させてしまい、便秘を起しやすくさせます。
また過度のストレスによって自律神経が乱れると、血液の巡りも低下してしまうため腰痛を起しやすくなったり、ストレスで交感神経が優位になると、痛みを敏感になり感じやすくなるため、腰痛が悪化してしまうんです。
このように過度のストレスは腰痛と便秘の両方に悪影響を与えてしまうため、普段の生活からため込まずに時々発散させる機会を持つようにしてみてください。
薬に頼りすぎない
便秘が続いて辛いときには便秘薬を使用したり、腰痛が辛いときには痛み止めの薬を飲む人もいるでしょう。
これら薬を利用することは決して悪いことではありません。
便秘によって便が長期間、腸にため込まれると、どんどんと水分が吸収されてさらにカチカチに固まり、その固まった便のせいで腸内に便が渋滞を起すという悪循環に陥ることもあります。
なのでこんな時には便秘薬を利用して一度便を出してしまうのも一つの方法です。
腰痛も痛み止めの薬によって、痛みで動けなかったのが動けるようになれば、筋肉が伸び縮して血液の巡りがよくなり、腰痛の改善にプラスに働くこともあります。
ですが便秘薬にしても痛み止めにしても、両者に言えるのは、あくまで対処療法であって根本を改善できているわけでなく、腰痛や便秘を治してくれるモノではないんです。
さらに薬は習慣化して使用することで、体が薬に順応していくため、段々と効果が落ちてしまいます。
このように腰痛や便秘に対して便秘薬や痛み止めを使用することは悪いことではありませんが、それらはあくまでも対処療法であり、薬を使用するとともに、根本的な原因を改善していくことをおこなってください。
まとめ
便秘と腰痛は一見するとあまり関係ないように思えますが、実際は便秘によって溜まるガスやポッコリ出てしまうお腹によって、腰痛の原因になることがあります。
便秘が原因の腰痛を改善していくときのポイントは、自律神経を整えて、腸の働きを整え、血液の巡りを良くしていくことです。
そのためにも便秘で腰痛があるという方は、上記の治し方を参考に、早速行動してみてくださいね。便秘の解消と共に腰痛が治ったという方は多くいらっしゃいますので。
また便秘だからといって薬を使用することは悪くありませんが、薬はあくまで対処療法であって、便秘を治してくれるものではないので、薬だけに頼りきりになることには注意してください。
記事提供者プロフィール
かんばし まさとし
奈良県御所市からすぐ神橋筋整体院の院長
お客さんの8割以上が腰痛・首痛で病院や整骨院など、どこに行っても治らなかったという悩みを持ち来店される。
その多くの方が痛いところだけ揉んだり電気を当てたりといったその場だけの治療ではなく、姿勢や痛みの原因となる根本から整えていく独自の施術法で改善し支持を得ている。
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