抜けそうな腰の痛みの原因とストレッチ方法
「荷物を持ち上げようとした時に腰が抜けるように痛くなった」「普段の生活で不意に体勢を変えた時に腰が抜けそうに痛くなることがある」と、悩んでいませんか?
腰痛もちの方の中にはじわじわと痛みがあるだけでなく、腰に痛みがでて力が入らず抜けそうになることがあるという方がたまにいらっしゃいます。
私自身も頻繁ではありませんが、今までなんどかそのような痛みを感じたことがありますが、本当に腰周りに力が入らず崩れ落ちてしまいますよね。
でもどうして腰が抜けそうに痛くなってしまうのか?今回はその原因と対策についてお伝えしていきます。
仙腸関節が大きく関わっている
腰が抜けるように痛い時には、内臓の疾患であったり腰椎椎間板ヘルニアのようなものが原因であると考える方は少なくないでしょう。
実際にそういったものが原因であることも確かにありますが、本当にそれらが原因で腰痛を起こしていることはかなり稀です。
では何が原因で腰が抜けるように痛くなるのか?というと、圧倒的に多いのが仙腸関節の問題です。
仙腸関節って?とあまり聞きなれない言葉なので思う方もいるかも知れませんね。
仙腸関節というのは上のイラストの赤線の部分にある関節で、骨盤にある関節なんです。
そもそも骨盤というのは一つの骨でなく、いくつかの組み合わさって出来ているんですが、仙骨と呼ばれる骨と寛骨という骨が接して関節を作っている部分を仙腸関節と言います。
仙骨は上半身の重みを受け止めバランスよく支えてくれているため、この仙腸関節にひき剥がされるような力が加わったり(実際にひき剥がされることはありません)、それによって炎症を起こしたりしたときに、痛みとともに上半身を支えられずに抜けるような感覚が起こってしまいます。
なぜ仙腸関節に問題が起こるのか?
上記でお伝えしたように、腰が抜けるように痛くなる原因は仙腸関節の問題によることが多いんですが、それではなぜ仙腸関節に問題が起こってしまうのか?
一つは先ほど書いたように、骨盤にはいろいろな筋肉がついていて、それらの筋肉が硬くなり骨盤を引っ張ることで仙腸関節には持続的に引き剥がすような力がかかってしまい、それによって仙腸関節に問題を発生させてしまいます。
また仙骨は背骨とつながっていて上半身の重みを受け止めている部分です。
背骨はS字カーブを描いていてこれがクッションの役割を果たしていますが、このS字カーブが減少してしまったり反対に強まってしまうとクッションの役割を果たせなくなり、その分クッションで逃がすことの出来なかった負担が上半身を支える仙骨に回ってきてしまうため、仙腸関節にも負荷がかかり問題を発症してしまいます。
抜けるような腰の痛みを治すためにはどうすればいいのか?
それでは抜けるような痛みを治すためにはどうすればいいのか?ってことなんですが、ポイントは仙腸関節にかかる負荷を取り除いて問題を解消してあげることです。
仙腸関節の問題を解決するためには大きく分けると3つのポイントに分けられます。
1、背骨のカーブを整える
上記でお伝えしたように背中が丸まって背骨のカーブが減少したり、腰の反りが強くなり背骨の湾曲が強くなってしまい、本来背骨の持つS字カーブが崩れ腰椎の前弯が崩れると、上半身の重たさを分散するためのクッションの役割を果たせなくなり、上半身の重みが直接仙骨にかかり仙腸関節の負担が大きくなります。
なので背骨のS字カーブを取り戻し腰椎のカーブを正すために、骨盤の歪みを整えたり、体のバランスを整えてあげることが必要となります。
2、骨盤につく硬くなった筋肉を和らげる
骨盤につく筋肉が硬くなったままでは、硬くなった筋肉骨盤を引っ張り仙腸関節をひき剥がすような力が加わり続けてしまいます。
そのため、骨盤につく硬くなった筋肉をやわらげてあげる必要があります。
3、仙腸関節の動きを滑らかにする
仙腸関節は肘関節や肩関節のように曲げ伸ばしができたり、まわしたりできるほど大きな可動域はなく、多くの靭帯によって固定され非常に安定性の高い関節です。
ですがまったく動かないわけではなく、数ミリ単位ですが動くことができ、このわずかな動きが体にとってはすごく重要なんです。
2のポイントと重なるところもあるんですが、仙腸関節周辺の筋肉が硬くなってしまうことで仙腸関節のわずかな動きが制限されてしまいます。
そうなると仙腸関節にかかる負荷を逃がすことができなくなり、問題を発生させてしまうため、仙腸関節の動きを滑らかにしておくことが大切になります。
抜けるような腰の痛みを治すためのストレッチ
抜けるような腰の痛みを治すためには上記のように仙腸関節の問題を解消してあげる必要があります。
とはいっても多くの靭帯によって固定された仙腸関節自体をどうのこうのするのは非常に難しいため、仙腸関節周囲の筋肉を整えることで仙腸関節の動きはよくなり、仙腸関節にかかる引き剥がす負荷がなくなります。
ここからは抜けるような腰の痛みを治すための、仙腸関節周囲にある筋肉のストレッチをお伝えしていきます。
●上向きに寝て片足を曲げ、反対の伸ばしている足と交差させます。
膝を曲げて交差させた足を内へ倒してください。お尻のところにツッパリを感じたところで15~20秒キープ。左右交互に行ってください。
●両足を前後に開いて立ち、後ろの足の膝を床につけ前後の膝を90度前後に曲げます。後ろ足の太もも裏に同じ側の手を当てます。
手で押すようにお尻を前に突き出し、股関節の付け根にツッパリを感じたところで15~20秒キープ。左右交互に行ってください。
●上向きで寝て、片足を曲げその足を両手で保持します。
両手で保持した足の太もも内側を胸に向けて引き寄せてください。
お尻の部分にツッパリを感じたところで15~20秒キープ。左右交互に行ってください。
●上向きで寝て両足を軽く左右に開き両膝を立てます。
両足を横に倒し、片足を反対の膝の上に乗せ、乗せた足で反対の足を床に近づけていってください。
お尻の側面にツッパリを感じたところで15~20秒キープ。左右交互に行ってください。
●胡坐をかくように足を曲げて床に座り、両足の裏を合わせます。
両膝を床に近づけながら、体を前に倒してください。この時背中が丸まりすぎないよう気を付けてください。
抜けそうに腰が痛いときは腰椎のカーブを意識して動く
上記のお伝えしたストレッチなどで、仙腸関節の問題を改善していくことが抜けそうな腰の痛みを改善していくためには大切なんですが、ストレッチは魔法ではないため、今日おこなって明日改善するようなことはありません。
なのでストレッチなどのケアをしながら意識してもらいたいのが、腰椎の前弯のカーブを崩さないようにすることです。
この腰椎のカーブが崩れてしまうことで、腰が抜けそうになる痛みが起こりやすくなってしまうため、普段の生活で荷物を持ったり、顔を洗ったり、椅子から立ち上がる時など、極力腰椎のカーブを崩さないことに気をつけてみてください。
掃除機をかけたり家事をする時に、もついつい腰を丸めて腰椎の前弯のカーブが減少してしまう動作が癖になっている人は少なくないため、改めて生活の動作を見直してみてくださいね。
抜けそうに腰が痛くなった時には冷やす
また実際に腰が抜けそうに痛くなってしまった時には、冷やしたほうがいいのか?温めた方がいいのか?と悩まれる人もいるでしょう。
この場合、仙腸関節付近で炎症を起こしている可能性が高いため、まずは冷やすことをお勧めします。
炎症が起こっているところに温めて熱を加えてしまうと、その時には少し痛みが軽減しても、後で腰痛が増したり治るまで長引いてしまうことも少なくないからです。
冷やすときにも、湿布では表面の皮膚しか冷えないため、ビニール袋に氷と水を入れて痛みのある所に直接当てて、しっかりと冷やすようにしてください。
まとめ
抜けそうに腰に痛みがでる…と悩まれている方もいるでしょう。
そのような痛みの時には、内臓の問題や腰椎ヘルニアなどを疑う方は多いと思いますが、多くの場合仙腸関節の問題によって抜けそうな腰の痛みが出ています。
というのも、仙腸関節は上半身の重みを受け止める部分であるため、この関節に問題が生じると上半身を支えきれずに崩れそうになってしまうんです。
そして仙腸関節の問題を改善するためのポイントは背骨のカーブを整え、仙腸関節の動きを滑らかにし、骨盤につく筋肉を和らげることです。
仙腸関節は多くの靭帯によって固定されているため、関節を直接何とかしようとするよりも、仙腸関節周囲の筋肉を整えてあげることで抜けそうな腰の痛みは改善していきます。
記事提供者プロフィール
かんばし まさとし
奈良県御所市からすぐ神橋筋整体院の院長
お客さんの8割以上が腰痛・首痛で病院や整骨院など、どこに行っても治らなかったという悩みを持ち来店される。
その多くの方が痛いところだけ揉んだり電気を当てたりといったその場だけの治療ではなく、姿勢や痛みの原因となる根本から整えていく独自の施術法で改善し支持を得ている。
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