太っていると腰椎ヘルニアになりやすい?
以前からちょくちょく腰痛を繰り返して過ごしてきたけれど、最近になって痛みが強くお尻から太ももの方にまで痛みを感じるようになったから、病院で検査を受けてみると腰椎椎間板ヘルニアと言われた…。ここ数年で体重も増加し太ってしまったけれど、これって腰椎椎間板ヘルニアと何か関係あるのかな?と、悩んでいませんか?
腰椎椎間板ヘルニアは若くても歳をとっても起こりますが、割合40歳前後の方に多い傾向にあります。
そしてこのくらいの年齢になると段々と、昔に比べて太ってきてしまった…という方も少なくないでしょう。
そんな時に腰痛と共に腰椎椎間板ヘルニアになると、太ったことも関係があるのかな?と思う人もいるでしょう。
そこで今回は、太っていると腰椎椎間板ヘルニアになりやすいのか?についてお伝えしていきます。
太っていることと腰椎ヘルニアの関係
太っていると腰椎ヘルニアになりやすいのか?結論から言ってしまうと、太っていることで腰椎椎間板ヘルニアを発症させるリスクは高まります。
もちろん太っていることだけが腰椎ヘルニアの原因ではありませんが、無関係というわけにいかないんです。
でもそれじゃあどうして太っていると腰椎ヘルニアを発症しやすくなってしまうのか?ここからは太っていることが腰椎ヘルニアのリスクを高める理由についてお伝えしていきます。
腰にかかる負担を増加させる
「腰痛を治したければ体重を落としなさい」病院でたまに聞くことのある言葉で、実際に言われたことがあるなんて人もいるかもしれませんね。
こう言われるのは、腰は上半身を支える要となる部分であり、太って体重が増えお腹などに脂肪が溜まれば、それだけ上半身を支える腰に掛かる負荷が増えるためです。
もちろん腰に負荷がかかるということは、腰の骨と骨の間にあるクッションの役割を果たし、腰椎ヘルニアの原因となる椎間板にも負荷が増え潰れて飛び出しやすくなってしまいます。
そして例えば50キロの方と100キロの人がいるとして、100キロの人の方が単純に50キロの人より腰に50キロ多い負担がかかるのか?というとそんな単純ことではないんです。
日常生活で当たり前のように行う、立ち上がる、座る、前かがみになるなどの動作では腰にかかる負担は、体重の約2.5倍だと言われています。
つまり50キロの人ならその瞬間に腰には125キロの負担がかかり、100キロの人であれば瞬間的に250キロの負担が腰に掛かり、腰にかかる負荷の差は100キロ以上違うということです。
これが毎日続くことになるので、太っていると腰椎ヘルニアになりやすいのも納得できると思います。
体の重心の位置が変わり姿勢が崩れる
体重が増加し太ってしまうと、お腹周りにも脂肪が蓄積してしまうため、そのお腹の蓄積した脂肪に引っ張られて重心の位置が変わり姿勢が崩れてしまいやすくなります。
よくみられるのが、お腹によって前に出た重心を上半身をそらせてバランスをとろうとする、下の写真のような姿勢です。
背骨は24個の骨が積み木のように積み重なって、本来S字カーブを描いています。
このS字カーブがあるから、腰にかかる負荷を周りに分散し椎間板にかかる負担を減らしているんですが、姿勢が崩れて背骨のカーブが崩れてしまうと、椎間板にかかる負担も大きくなり、潰れやすく腰椎椎間板ヘルニアを発症させやすくなってしまうんです。
運動習慣がない
これはもちろん人による差が大きく、太っていても運動をしっかり行われている方もいますが、やはり平均的には標準体重の方よりも太っている方の方が運動習慣がないことが多いです。
そして太ってしまうと運動するのも大変だからと、余計運動する機会が減る人も少なくないでしょう。
椎間板は人体で最大の無血管組織と言われており、字の通り血管が存在していなくて、体を動かすことで椎間板に適度な圧がかかることで、椎間板の中心部にある髄核がスポンジのように潰れたり戻ったりするときに水分の入れ替えが行われ、栄養も補給されます。
つまり運動することが減るとそれだけ椎間板には栄養がいきわたりにくくなり、老朽化して腰椎ヘルニアを起こしやすくなります。
また運動する機会が減ると筋肉がしっかり伸び縮みしないため、血液の巡りが悪くなってしまいます。
すると腰周りの筋肉も血液の巡りが悪くなり、段々柔軟性をなくして硬くなってしまうことで、柔軟な時には吸収できていた衝撃がその分椎間板にかかることになり、腰椎ヘルニアを発症しやすくなってしまうんです。
腹圧を安定させられない
人の体は肋骨(あばら骨)の下は骨がなく内臓が収納されているだけで、腰の部分は背中側にある背骨だけで上半身を支える構造になっています。
つまり体の構造的にも上半身を支えるために腰に負担がかかりやすくなっています。
ですが、上部のイラストの赤丸の部分は腹圧を高めることで、その高まった腹圧を骨の代わりに支えにして、腰だけで上半身を支えずに済むようになっています。
これが太ってしまってお腹に脂肪が蓄積してしまうと、腹圧を高めることが難しくなるため、腰にかかる負担が増えて腰椎ヘルニアを発症させるリスクが高まります。
決して太っているだけが原因でない
ここまでは太っていることが腰椎椎間板ヘルニアを発症させるリスクについてお伝えしてきましたが、腰椎ヘルニアの原因は決して太っていることだけではありません。
腰椎ヘルニアは骨盤の歪みや生活習慣、筋肉の硬さ、仕事の内容等々、様々な原因が複雑に絡み合って発生しています。
あくまで太っているということはその中の要因の一つにすぎません。その証拠に痩せてても腰椎ヘルニアの方も多くいらっしゃいます。
なので太っているからといってダイエットだけで腰椎ヘルニアが改善するのか?というと、痩せても腰痛や痺れが治らなかった…なんて方も沢山今まで私も見てきましたので、ダイエットで体重を減らそうとすることは良いことですが、それと一緒に腰椎ヘルニアの治療を行っていくことをお勧めします。
まとめ
腰椎椎間板の腰痛やお尻から太ももの痛み・痺れで悩んでいる方の中には、太っているのが関係しているのかな?と、疑問に思っている人もいるでしょう。
結論から言うと、太っていることは腰椎ヘルニアを発症させるリスクを高めてしまいます。
これは、「体重が増えると腰にかかる負荷が大きくなる」「重心の位置が変わり姿勢が悪くなりやすくなる」「運動の習慣がない」「腹圧を安定させられなくなる」などが大きく関わるためです。
そして確かに太っていると腰椎ヘルニアを発症させやすくなりますが、あくまで太っていることは様々ある原因の中の一つに過ぎないため、痩せるだけでなく、治療も一緒に行っていくことをお勧めします。
もちろん健康に置いても痩せることはいいことですので、痩せるための方法は今はいろいろ言われていますが、私が考えるにやはり食事の量や内容の見直し、体を動かす習慣、間食の有無が基本になると考えていますので、そのあたりをもう一度見直し痩せることも頑張ってくださいね。
記事提供者プロフィール
かんばし まさとし
奈良県御所市からすぐ神橋筋整体院の院長
お客さんの8割以上が腰痛・首痛で病院や整骨院など、どこに行っても治らなかったという悩みを持ち来店される。
その多くの方が痛いところだけ揉んだり電気を当てたりといったその場だけの治療ではなく、姿勢や痛みの原因となる根本から整えていく独自の施術法で改善し支持を得ている。
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