ダイエットで頚椎症・頚椎ヘルニアが治る?
頚椎症や頚椎ヘルニアと病院で診断されて、薬は飲んでいるものの首や肩が痛くて痛くて…。私ってちょっと体重が重たいけれど、ダイエットすればこの頚椎症や頚椎椎間板ヘルニアの痛みや痺れが楽になるのかな?と疑問に思っていませんか?
腰痛なんかは痩せた方がいいといわれることもあり、頚椎症や頚椎ヘルニアといった頚椎の問題でも体重って関係あるのかな?と疑問に感じたことのある人はいるでしょう。
当店に来られるお客様にもたまに「ダイエットしたほうが頚椎にもいいんですか?」という質問を受けることがあります。
そこで今回はダイエットで頚椎症・頚椎ヘルニアが変化するのか?について考察していきます。
ダイエットだけで頚椎症・頚椎ヘルニアを治すのは難しい
頚椎症・頚椎ヘルニアの場合はダイエットしたほうがいいのか?結論から言ってしまうと、ダイエットをしたからと言って治ったり劇的に症状が変わるとは考えにくいです。
腰痛であれば確かに上半身の重たさを腰が支えるため、単純にダイエットによて上半身の重たさが減れば腰にかかる負担は少なくなります。
ですが頭はボーリングぐらいの重たさがあるといっても、太っている人と痩せている人でそこまで大きな重さに差は出ないでしょう。
厳密にいえば頭の重たさは体重の約10%前後と言われているため、50キロの人であれば5キロのところ、100キロの人であれば10キロの重たさになってしまうため、ここまで差があれば影響も大きいでしょう。
ですがダイエットによって10キロ痩せられたとしても、その場合は1キロ変わるか変わらないか?なので、そこまで頚椎に多くな影響が出るとは考えにくいのです。
頭を傾ける角度を正す方が効果的
ダイエットによって頭の重たさを減らして頚椎にかかる負担を少なくしようと考えるのであれば、ダイエットよりも前に頭の傾きの角度を見直してもらうほうが先決です。
というのも、頭の傾きの角度によって頚椎にかかる負担が大きく変わるためです。
肩と耳の前が一直線にならんだ角度0度とするとき頭の純粋な重さ約5kgが首にかかるとします。それが頭を前に傾ける角度が増すにつれ、15度で12Kg 30度で18Kg 45度で22Kg 60度で27Kgと負荷が強くなっていくと言われています。
つまり言い換えれば、50キロダイエットで痩せるよりも、普段の生活で姿勢をただし、肩と耳が一直線に並ぶように心がけることの方がよっぽど頚椎にかかる負担を減らせるため、頚椎症・頚椎ヘルニアの予防や改善に大きく影響するということです。
ダイエットによるメリット
上記でお伝えしたように、ダイエットをしたからだけで頚椎症・頸椎ヘルニアが治るわけではありません。
ですがダイエットが全くの無意味か?というとそんなこともなく、太っていることは頚椎症や頚椎ヘルニアを引き起こす要因の一つになるため、それをダイエットで痩せるということは、改善ためにメリットになることがあるのも確かです。
ここからはダイエットによって得られるメリットについてお伝えしていきます。
●姿勢を正しやすくなる
まずダイエットによって姿勢を正しやすくなるというメリットがあります。
太っている時というのは、お腹に脂肪が溜まってしまっているため、お腹に体が引っ張られてしまい重心が前に引っ張っられるため、かなり意識をしないと姿勢を正し背骨の本来持つS字カーブを保つことが難しくなります。
またお腹に脂肪が溜まることで腹圧を高めることが難しくなるため、本来であれば骨の代わりに体を支えてくれる腹圧が弱るということは、それだけ正しい姿勢をキープすることが難しくなるということです。
そして上記でもお伝えしたように、首にかかる負荷というのは頭の傾きの角度によって変わってきます。
姿勢を正して、肩と耳の前が一直線にならんだ時が首にかかる負担が少なくてすむのに対し、姿勢が崩れるということは背骨の本来持つS字カーブも崩れるということなので、頭の傾きも変わり頚椎にかかる負担も大きくなってしまいます。
これがダイエットによって姿勢をただしやすくなれば、頚椎にかかる負担を減らしやすくなるということでもあるので、頚椎症・頚椎ヘルニアの予防や改善にプラスに働いてくれます。
●胃腸や肝臓の負担が少なくなる
ダイエットによって食生活を見直すことで、胃腸や肝臓にかかる負担が少なくなり、頚椎症や頚椎ヘルニアの改善のメリットになります。
太っている人というのは、やはり食事量も多く脂モノをよく食べる傾向にある人が多いでしょう。(中には遺伝的なものなど、もちろんそうでない人もいらっしゃいますが)
普段から食べ過ぎはやはり胃や腸にとっては大きな負担です。
そして胃や腸に負担がかかり働きが低下してしまうと、自律神経の乱れの原因となり血液の巡りが悪くなることで、頚椎の血液の巡りも悪くなったりします。
また胃の筋肉が硬くなるとそれは周囲の筋肉にも伝わるため、背中の筋肉にも波及し、結果背中の筋肉が付く肩甲骨を引っ張り動きを悪くします。
肩甲骨には首すじの筋肉も付くため、肩甲骨の動きが悪くなると首の筋肉も柔軟性を失ていき、頚椎を支える働きが低下したり、血液の巡りが悪くなってしまいます。
脂モノの食べ過ぎは肝臓に負担をかけてしまいますが、脂モノを消化し分解するために肝臓が必死に働くと、肝臓が疲労し働きが低下してしまいます。
肝臓には全身の約30%もの血液が貯留されているため、肝臓の働きが低下しそれだけの血液が滞留してしまうと、全身の血液の巡りが悪くなってしまいます。
本来血液は細胞に栄養や酸素を運んだり、疲労物質などの老廃物を流すために働いていますが、その流れが悪くなるということは首の筋肉や椎間板の回復力が落ち、働きも低下してしまうため、頚椎症や頚椎ヘルニアの症状を悪化させたり、治りを悪くさせる要因になります。
これがダイエットによって胃腸や肝臓に負担が少なくなるということは、それだけ頚椎症や頚椎ヘルニアの予防・改善にとってメリットになり得ます。
●運動量が増える
今はいろいろなダイエット方法があるため一概には言えませんが、痩せるために運動を始められる方も少なくないでしょう。
動くことが少なく同じ姿勢を続けてしまうと、筋肉が伸び縮みしないために段々と柔軟性をなくし硬くなってしまいます。
これが運動を行うことによって全身の筋肉を動かせば、筋肉の柔軟性も保たれ血液の巡りも良くなるため、頚椎症や頚椎ヘルニアの予防や改善にプラスに働きます。
ダイエットによるデメリット
ダイエットによる頚椎症・頚椎ヘルニアへのメリットをお伝えしてきましたが、やはりいいことばかりでなくデメリットも存在しています。
ここからはダイエットが頚椎症や頚椎ヘルニアに与えるデメリットをお伝えしていきます。
●運動によって頚椎に負担がかかる
運動を行うことは頚椎症や頚椎ヘルニアの予防、改善にプラスに働くとともに、それを行いすぎることで体には負担となるためデメリットになる場合もあります。
特に水泳や自転車といった運動は頚椎に負担がかかりやすく、水泳の場合はクロールや平泳ぎの息継ぎの時に首を捻ったり、首を反らす形になります。この動きが頚椎にとっては大きな負担で頚椎症や頚椎ヘルニアが悪化してしまう場合もあります。
また自転車も街中を一般的なもので走るならましですが、最近よく見かけるスポーツ用の前傾姿勢の強い自転車ほど首を反らせて運転することになるので負担が大きくなってしまいます。
またウエイトトレーニングで上半身はもちろんのこと、下半身のトレーニングであっても、首の筋肉は緊張状態になるというデータもあるため、あまりに強い負荷で行うトレーニングは頚椎症や頚椎ヘルニアに悪影響を与えると考えられます。
運動は適度に行うことでメリットになりますが、あまり熱が入りすぎるとデメリットになり得るので注意してくださいね。
●栄養不足や食事の偏り
ダイエット方法によっては食べるものが偏ったり、それこそ食事を極端に減らす人もいるでしょう。
ですが、頚椎症や頚椎ヘルニアで傷ついた神経を回復するためにはビタミンB12が、首を支える筋肉を回復させるためにはタンパク質やビタミンB2が、そして椎間板のもとになるのがコラーゲンであり、こういった栄養が極端に減ってしまうと、体を回復することができないため症状が治りにくくなってしまいます。
頚椎症・頚椎ヘルニアに限らず適正体重を目指してダイエットに励むことは体にとっても良いことであると考えていますが、極端なダイエット方法には注意が必要です。
まとめ
頚椎症や頚椎ヘルニアの痛みや痺れに悩まれている人の中には、もう少しダイエットしたほうが治りやすいのかな?と疑問に思っている人もいるでしょう。
ただ、ダイエットをすればそれだけで頚椎症・頚椎ヘルニアが治るのか?というと、残念ながらそんなことはありません。
それこそ頚椎にかかる負担を減らすのであれば、普段の生活で姿勢を正し頭の傾きを意識するほうがよっぽど効果的です。
ですが、太っていることは頚椎症や頚椎ヘルニアを発症しやすくなる一つの要因であるため、全くダイエットにメリットがないのか?というとそんなことはありません。
ただし無理な食事制限や激しい運動は頚椎にも負担がかかるため、頚椎症や頚椎ヘルニアを治したいのであれば、極端なダイエット法には注意が必要です。
記事提供者プロフィール
かんばし まさとし
奈良県御所市からすぐ神橋筋整体院の院長
お客さんの8割以上が腰痛・首痛で病院や整骨院など、どこに行っても治らなかったという悩みを持ち来店される。
その多くの方が痛いところだけ揉んだり電気を当てたりといったその場だけの治療ではなく、姿勢や痛みの原因となる根本から整えていく独自の施術法で改善し支持を得ている。
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