立ち仕事で肩こりが出る原因と対策
仕事でほとんど立ちっぱなしでいることが多く、夕方になってくると背中から肩にかけて段々と「こり」が強くなっていく…と、悩んでいませんか?
肩こりというとなんとなくデスクワークやパソコン作業の人に多いイメージかもしれませんが、立ち仕事の人の中にも肩こりで悩まれている人は少なくありません。
でも特に重たいモノを運んだり持ち上げたりしているわけでもないのに肩がこってしまうのはどうしてなのか?
今回は立ち仕事で肩がこる5つの原因やその対策についてお伝えしていきます。
1、立っている時の姿勢に問題がある
やはり立ち仕事で肩がこる…と悩む方の原因で多いのが姿勢でしょう。
姿勢と肩こりの関係については最近ではよくよく言われるようになりましたが、姿勢が悪いということは立っている間ずっと肩に負担をかけてしまっている様なもので、肩周りの筋肉が段々と硬くなりこりを作ってしまいます。
でもどうして姿勢が悪いと肩がこるのか?というと、頭の位置と背骨のカーブが大きく関係します。
例えば立っている時によく見かける崩れた姿勢が、
上の写真のように背中が丸くなってしまっている人や、お腹を突き出し一見すると背すじは伸びてそうに見える方です。
どちらの姿勢にも共通して言えるのが、頭が前に出てしまい頚椎(首)のカーブがなくなってしまっていることです。
頚椎(首)の骨は本来緩やかな前弯のカーブを描いており、このカーブがあるおかげでクッションの様な働きをし、頭の重たさを逃して肩や首の筋肉に直接負荷がかからないようになっています。
この頚椎のカーブがなくなってしまうということは、頭の重たさが肩や首の筋肉にのしかかってしまうため、立っていると肩周辺の筋肉が段々と柔軟性をなくして「こり」を作ってしまいます。
また頭が前に出てしまうということは、大げさに言えば首から頭が落ちそうになっている状態で、そんな頭を前に落とさないために首や肩の筋肉は常に頭を引っ張り続ける必要があります。
そして頭を引っ張り支え続けるならゴムの様な柔軟性のある筋肉ではなく、緊張して固くした筋肉で支える方が便利であるため、体は常に首から肩周辺の筋肉を緊張させた状態にするため、「こり」が発生してしまいます。
このように崩れた姿勢で立ち続けることで肩こりが発生してしまうんです。
そして気を付けて欲しいのが、上の写真の下のようにお腹を前に突き出し、腰から背中を反らせている人の中には自分は姿勢がいいと思い込んでいる人が多いことです。そのため「姿勢がいいのにどうして肩がこるんだろう?」と悩んでいる人がたまにいらっしゃいます。
くれぐれも「胸を張る」=「良い姿勢」と思わないようにしてくださいね。
●対策
肩こりを発生させないための対策としてはやはり立ち仕事の時の姿勢を正すことなんですが、上記のように胸を張ればいいとは思わないでください。
それ以外でも、立っている時の姿勢を正すためには上半身だけに注目するとなかなかうまくいかないことが多く、大切なのは足元の重心からです。
足元の重心が前や後ろにいってしまうと、そんな状態でバランスを取ろうと体がするため、お腹を突き出したり背中を丸めて姿勢が悪くなってしまうんです。
そして足元の重心をかける位置は、土踏まずのやや後ろで、下のイラストの赤丸部分です。
この赤丸の上にはちょうどすねの骨があるため、ここに重心をかけることですねの骨が前後に傾かず真っすぐになるので、姿勢よく真っすぐに立つための基礎ができるんです。
そして重心をきちんとかけられたら次は骨盤です。
背骨は骨盤から続いているため、この骨盤が前後や左右に傾いていては背骨の本来のS字カーブを作ることができません。
その骨盤を正すために意識してもらいたいのがお腹とお尻です。
お腹を軽くへっこませるように力を入れ、お尻の穴を閉めるようにしてもらうと、体の奥の筋肉が使え骨盤が安定し姿勢を正しやすくなるんです。
ここまでのポイントを抑えて、後は頭の位置を少しだけ背骨の上にくるように意識してもらうことで、立った時の姿勢をきちんと正せるようになります。
2、肩が前に出ている
姿勢と関連していますが、立ち仕事をしている時に肩の位置が前に出てしまうことが肩こりになる原因となります。
肩の位置が前に出るということは、肩甲骨は外側に広がってしまっている状態で、動きが制限されてしまいます。
肩甲骨には肩から首につながる筋肉がついているため、外に広がり動きが制限されてしまうと、肩甲骨につく筋肉も伸び縮みすることが減り血液の巡りが悪くなる結果、こりを作りだします。
このように立ち仕事の間、肩の位置が前に出ていると肩周りの筋肉を硬くさせ肩こりをつくる原因となります。
●対策
多くの場合、肩の位置が前に出てしまうことは生まれつきの骨格ではなく、筋肉などによって肩甲骨が引っ張られた結果であるため、肩甲骨を前に引っ張る筋肉を緩めてあげることが重要となります。
ここでは肩甲骨を前に引っ張り固定させる胸や前鋸筋と呼ばれる筋肉のストレッチをお伝えします。
●片腕を軽くひじを曲げて上げ、そこから上げた腕を後ろにゆっくりひいていきます。胸に突っ張りを感じたところで15~20秒キープ。左右交互に行ってください。
●床によつんばいになり、手を肩幅より開いて肘を伸ばします。 そこから肩を入れ込むようにして胸を下げていきます。
脇から肩にかけてツッパリ感がでてきたところで15秒~20秒キープしてください。
このように肩甲骨を前に引っ張る筋肉をやわらげ、それから肩が前に出ないように意識していただくことで、肩の位置が本来の場所に戻りやすくなります。
3、動くことが少ない
立ち仕事の時に、ほとんど動くことがないという場合はそれが肩こりの原因となります。
動くことがないということは筋肉が伸び縮みしないということでもあり、本来であれば、筋肉が伸び縮みすることがポンプの様な役割を果たして全身に血液をめぐらせますが、それができないため血液の巡りが悪くなってしまいます。
すると疲労物質などの老廃物も流されず溜まっていくことで「こり」が発生してしまいます。
そのため、立ち仕事でも動くことが少なければより肩こりを発症しやすくなってしまいます。
●対策
対策としては仕事内容によっては難しいかもしれませんが、極力立ちっぱなしにならずに体を動かすことです。
もしその場で立ちっぱなしの場合も、屈伸をしたり大きく足踏みを行ったり、立ったままでストレッチを行ったり、極力筋肉を動かすことを意識してください。
4、足の疲労
一日立ちっぱなしの仕事であれば、足もかなり疲れることでしょう。その疲労が肩こりの原因となることがあります。
とくにふくらはぎは「第2の心臓」といわれています。このふくらはぎが疲労してしまうことが肩こりに大きな影響を与えるのです。
心臓から送り出した血液が各臓器、各筋肉にいきわたり全身に栄養を送り老廃物などを受け取り、その後筋肉に送り込まれた血液はまた心臓に返さなければなりません。
この時ふくらはぎなど足の先のほうは、重力に逆らって体の端の心臓まで血液を送り返すことになるため、相当な力がいります。
これがふくらはぎが疲労し弱ってしまっていると、心臓や上半身に血液を送りかえす力が弱くなり血行不良がおこり、これによって「こり」が発生してしまうのです。
また、足の筋肉は骨盤につながっているため、疲労して柔軟性をなくして硬くなってしまうと、骨盤を引っ張るため姿勢を崩しやすくなり、立ち仕事で肩がこる原因となります。
●対策
なので対策としては普段から足に疲労を蓄積させないよう、足のケアを行っておくことです。
そうすることで第2の心臓であるふくらはぎがしっかり血液を送り返し、骨盤を引っ張り姿勢を崩すことをしなくなるので、肩こりが起こりにくくなります。
ここでは足のケアの方法としてストレッチをお伝えします。
●片足を伸ばして反対の足をあぐらをかくように座り、背すじを伸ばして背中を丸めないよう体を前に傾け、足にツッパリを感じたところで15~20秒キープ。左右交互に行ってください。
つま先を立てた状態と、足首に力を入れずつま先を立てない状態の2パターン行っていただくとさらに効果的です。
●正座をするように片足を曲げ、反対の足を伸ばして座り、体の後ろに両手を置き体を後ろに倒していってください。
太ももにツッパリを感じたところで15~20秒キープ。左右交互に行ってください。
5、背中の疲労
立ち仕事をしている人が、意外に酷使している部分が背中の筋肉なんです。
例えば美容師さんなんかは、立ったままでハサミを使うために腕を上げたたまま作業したりしますが、その状態で体を支えるために働いてくれるのが背中の筋肉で、このように立ち仕事で手作業をおこなう時に背中の筋肉が頑張ってくれています。
そして背中の筋肉が疲労して働きが低下してしまうと、体を支えることができなくなり、背中が丸まりやすくなります。
上記でもお伝えしたように、背中が丸まり頭の位置が前に出てしまうと、その頭を落とさないように肩や首周りの筋肉が過剰に働くため、肩こりの原因となるんです。
●対策
対策としてはやはり疲労した背中の筋肉をきちんとケアしてあげることです。ここではケアの方法としてストレッチをお伝えします。
●両足を肩幅に広げて立ちます。片手を頭の上に持っていき肘を曲げ、手のひらを背中につけてください。
反対の手で肘をつかみ、体をゆっくりと肘をつかんだ手の方へ倒してください。
背中につけた腕側の脇から腰にかけての部分にツッパリを感じたところで15~20秒キープ。左右交互に行ってください。
ポイントは、体を横に倒していく時に、上半身が前に倒れると効果が落ちるため、上半身は真横に倒すようにすることです。
まとめ
立ち仕事をしていると段々と肩がこってくる…と悩んでいる人もいるでしょう。
立ち仕事をしていると肩がこる原因としては「姿勢の悪さ」「肩が前に出ている」「動くことが少ない」「足の疲労」などが多くみられます。
なのでただこった方だけケアするのでなく、普段から立ち仕事で疲労する足の筋肉をケアしてあげたり、意識的に体を動かしたり、姿勢を正すことを意識することが肩こりを予防するために大切となります。
記事提供者プロフィール
かんばし まさとし
奈良県御所市からすぐ神橋筋整体院の院長
お客さんの8割以上が腰痛・首痛で病院や整骨院など、どこに行っても治らなかったという悩みを持ち来店される。
その多くの方が痛いところだけ揉んだり電気を当てたりといったその場だけの治療ではなく、姿勢や痛みの原因となる根本から整えていく独自の施術法で改善し支持を得ている。
コメントをお書きください