力仕事で悪化することのある頸椎ヘルニア
少し前から首や肩にかけて痛みや痺れを感じるようになり、病院で診てもらうと頚椎椎間板ヘルニアと言われた。痛みも我慢できないほどでないので手術はなしで様子を見ることになったが、仕事で重たいものを運んだり力仕事をしているとなんだか症状が悪化するけれど、これって力仕事が原因なの?と疑問に思っていませんか?
頚椎椎間板ヘルニアと診断されても即手術を迫られることはそれほど多くはありません。
多くの場合は薬やリハビリなどで様子を見ようということになりますが、そうなると仕事をいつまでも休んでいるわけにもいかず、少し症状が軽減すると仕事に行かれる人も多いでしょう。
そうして仕事に行ったものの、一見首に関係なさそうな力仕事をしていると、頚椎椎間板ヘルニアの症状が悪化される人もいらっしゃいます。
なので頚椎椎間板ヘルニアの時に力仕事をすると悪化することがあるのかな?と疑問に思っている人もいると思いますので、今回は力仕事と頚椎椎間板ヘルニアの関係についてお伝えしていきます。
力仕事で頚椎椎間板ヘルニアは悪化する?
力仕事をすると頚椎椎間板ヘルニアが悪化してしまうのか?一見すると重たいものを持ったり運んだりするのは、腰のヘルニアならともかく首にはあまり関係ないように思えますよね。
ですが実は力仕事をすることによって頚椎椎間板ヘルニアが悪化してしまうこともあります。
これは腕や背中の筋肉に負荷がかかることで、その影響が首にまで出てしまうからです。
腕を使うと首の筋肉も緊張する
腕や手というのは、独立してそれ単体で宙に浮いているわけではありませんよね。きちんと肩の関節を介して体と腕はつながっていますね。
構造的にも手の筋肉は肘あたりにまでつながり、肘から上の腕の筋肉は肩甲骨へとつながっています。
そのため重たいものを持ち上げるときや運ぶ時に手や腕にのしかかる負担は、腕だけで留まるのでなく、腕を支える背中や肩甲骨周囲の筋肉へと伝わります。
肩甲骨には首へとつながる筋肉もいくつかあるため、肩甲骨周囲の筋肉に負担がかかると首の筋肉も緊張し硬くなってしまうんです。
つまり重たいモノを持ったり運んだりする際には、離れている首の筋肉まで緊張が伝わり硬くなってしまうと言うことです。これが仕事で何回も続けば、頚椎椎間板ヘルニアの痛みや痺れといった症状は首周囲の筋肉の状態に大きく影響を受けるため、症状が悪化してしまうことがあるんです。
肩甲骨の動きが制限されていく
また力仕事で重たいモノを持ったり運ぶ際には、腕を支えるために背中の筋肉が酷使されます。
すると背中の筋肉は疲労し硬くなり、背中の筋肉が硬くなることで肩甲骨の動きも制限されてしまいます。
肩甲骨の動きが悪くなると肩がこるというのは、最近ではちょこちょこいわれることもあるため、ご存知の方も多いでしょうが、肩コリが発生すると言うことは肩周辺の血流が悪くなってしまっているということでもあり、頚椎周囲の血液も巡りが悪くなることで新鮮な酸素や栄養が運ばれず、老廃物が溜まることで自然治癒力が低下し頚椎椎間板ヘルニアも長引きやすくなってしまいます。
鎖骨を介して首すじも硬くなる
肩甲骨も宙に浮いてるわけではなく、体とは鎖骨を介してつながっています。
つまり手で重たいモノを持ったりするときには、腕や肩甲骨を支えるために鎖骨を安定さそうと、鎖骨につく筋肉も緊張し働きます。
鎖骨には胸鎖乳突筋と言う、首の前を走る筋肉もついているため、力仕事の際にはこの胸鎖乳突筋も緊張すると言うことです。
これが仕事で毎日繰り返されれば胸鎖乳突筋も段々と柔軟性をなくし硬くなっていきます。
胸鎖乳突筋が硬くなると頭を段々と前に突き出したような姿勢になっていくため、頚椎(首の骨)の本来持つ首のカーブが失われていき、だいたい頭の位置が2,5cm前に出ると首には4キロ負荷が増加すると言われるんですが、それだけの負荷がかかり続けることになるため、頚椎椎間板ヘルニアが悪化する原因となってしまいます。
腰の負担が首に影響を与える
他にも重たいモノを運ぶなど力仕事は腰に負担がかかることは、なんとなくイメージできると思います。
実は腰と首と言うのは関係が深く、腰周りを酷使して腰痛などが出ると、痛みから逃げるような姿勢になりますよね。
背骨と言うのは頚椎・胸椎・腰椎の骨が積み木のように積み重なって作られ、それが骨盤の上に乗っているので、腰痛によって骨盤を傾けたり腰を丸めることで、それは背骨全体に影響を与えます。
例えば腰痛で腰を丸めていれば、バランスをとるため背骨全体が丸まり猫背となって頚椎のカーブも減少してしまいます。
するとそれに伴い頭の位置も前に出てしまい頚椎のカーブも減少してしまいます。
上記でもお伝えしたように頭が前に出てしまい頚椎のカーブが減少することで、首には常に負担が増加して加わることになるため、頚椎椎間板ヘルニアの悪化の原因となったり、改善の妨げとなることがあります。
このように力仕事によって腰に影響が出ることによって、それが頚椎にも伝わってしまうことがあるんです。
力仕事で頚椎ヘルニアを悪化させないためには
それでは力仕事で頚椎椎間板ヘルニアを悪化させないようにするためにはどうすればいいのか?なんですが、基本的には腰痛対策と通ずるところがあります。
例えばモノを持ち上げたり運ぶときにはできるだけ荷物にちかづくこと。
荷物が体から離れれば離れるほどてこの原理によって、腕や肩、背中にかかる負担は大きくなってしまいます。
なのでできるだけ近づき体の近くで荷物を持ち上げたり運んだりすることが大切です。
また、膝をしっかりと曲げて足の力を使うことも大切です。
腕や腰だけの力で荷物を持ち上げようとしてしまうと、それだけ腕や腰には負担がかかることになり、結果的に頚椎椎間板ヘルニアに影響が出やすくなります。
ほかにも腰や背中を丸めないようにすることも大切です。
上記でもお伝えしたように、背骨は腰から頚椎へとつながっているため、腰を丸めて荷物を持ち上げたり運んでいると頚椎のカーブも減少することになります。
なので腰や背中を丸めずに腰椎の前弯のカーブを保つことで、頚椎のカーブも保たれ、首にかかる負担が少なくなります。
首だけケアせずに背中や腕のケアもおこなう
頚椎椎間板ヘルニアというと、自分でストレッチをしたり体操を行ったり、病院で牽引をしたり、ケアを行う時には首周りをすればいいと考えられている人も多いでしょう。
ですが力仕事をされている時には特に、首以外のケアも大切になります。
それこそ腕や背中の筋肉、腰周りや腰と一緒に力仕事の時に働きやすい足やお尻の筋肉、こういった筋肉が疲労し筋肉が硬くなって働きが低下すると上記でもお伝えしたように頚椎に影響を与えやすくなります。
なので一見すると頚椎と関係ないところでも、普段からケアを行い疲労をとっておくことで、結果的に頚椎にかかる負担が減るんです。
まとめ
頚椎椎間板ヘルニアの時には腰ではないので力仕事をしても問題ないと思われる方もいるでしょう。
ですが実は、力仕事が頚椎椎間板ヘルニアの悪化の原因になってしまうことがあります。
これは荷物の負荷が腕の筋肉を介してそれが首や背中にまで伝わったり、腕を支えるために肩甲骨や鎖骨周辺の筋肉が緊張したり、腰を痛めるとその影響が首にまで出ることがあるためです。
なのでできるのであれば、頚椎椎間板ヘルニアの症状が強い時には力仕事をさけ、仕事などでどうしようもないという時にも、しっかりと首以外の足や背中、腰や足などの筋肉のケアも行うようにしてくださいね。
記事提供者プロフィール
かんばし まさとし
奈良県御所市からすぐ神橋筋整体院の院長
お客さんの8割以上が腰痛・首痛で病院や整骨院など、どこに行っても治らなかったという悩みを持ち来店される。
その多くの方が痛いところだけ揉んだり電気を当てたりといったその場だけの治療ではなく、姿勢や痛みの原因となる根本から整えていく独自の施術法で改善し支持を得ている。
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