肩こりのグリグリのしこりは何?
仕事の関係か最近はひどい肩こりに悩まされるけど、肩に手を当てるとグリグリとしたしこりがある…これって何なの?と、疑問に思っていませんか?
肩こり持ちの人で、肩周りがコチコチという人は珍しくありませんが、中には肩を触ると皮膚の下になんだかグリグリとしたしこりがある人もいることでしょう。
肩こりだから硬くなっているのはなんとなく納得できるかもしれませんが、どうしてしこりのようなものができてしまうのか?今回は肩こりの時のグリグリとしたしこりの正体についてお伝えしていきます。
グリグリとしたしこりは筋硬結
肩こりの時に触ることのできるグルグリとしたしこりは、筋硬結である可能性が高いです。
筋硬結の構造上のはっきりとしたことはまだわかってはいませんが、筋肉内には「アクチン繊維」と「ミオシン繊維」という2つの繊維があり、脳から収縮しろという命令が来るとこの2つの繊維が連結することで筋肉が収縮します。
これが筋肉に過剰なストレスがかかると「アクチン繊維」と「ミオシン繊維」は連結したままになり、次第に膠着してしまいます。
膠着が起こるとその部分の血液の巡りが悪くなることで、新鮮な酸素や栄養が運ばれず、筋肉内に酸素不足やエネルギー不足が起こるとさらにその部分は硬くなってしまいます。
この状態が筋硬結と呼ばれるグリグリとしたしこりだと考えられます。
そして筋肉内が酸素不足やエネルギー不足になると、痛みの発痛物質が放出され、この初期状態が「こり」と呼ばれるものです。
どうすれば筋硬結がなくなるのか?
ではどうすれば肩こりの時に触ることのできる、グリグリとしこりのような筋硬結がなくなるのか?
これは先ほどの膠着状態の反対で、つまり連結したアクチン繊維とミオシン繊維が離れることが必要となります。
アクチン繊維とミオシン繊維が離れるために必要なのが新しい血液の中に含まれるエネルギー源です。ミオシン繊維の先端にエネルギー源が行きつくと、アクチン繊維との連結が解除されます。
肩こりの時に血液の巡りを良くしよう!といったことがしきりに言われるのは、このためなんです。
グリグリとしたしこりにマッサージは有効?
肩こりの時にまず思い浮かぶことがあるのが、マッサージだと思います。
では実際にマッサージはグリグリとしこりのような筋硬結に有効なのか?なんですが、確かにマッサージで筋肉を刺激することで血液の巡りは良くなるため、それによってアクチン繊維とミオシン繊維の連結が解除され、筋硬結が和らぐこともあります。
ですが、アクチン繊維とミオシン繊維が連結してしまった、筋肉にかかる過剰なストレスが解消されなければ、またすぐに筋硬結が起こってしまいます。
これが肩こりの時にマッサージをしても、すぐに元に戻ってしまう原因です。
さらにグイグイと強い力でマッサージを行った場合、その部分の筋繊維を傷めてしまって、その部分の筋肉にかさぶたのようなものが出来ます。
これを筋肉の線維化と呼ぶのですが、そうなるとよけいに筋肉が硬くなり、血液の巡りが悪くなり老廃物がうまく流されなくなることで、肩こりが慢性化してしまい、いつもダルく感じるようになってしまうんです。
目を向けるべきは筋肉にかかる過剰なストレス
つまりマッサージ「だけ」で、肩こりのグリグリとしこりのような筋硬結が治るわけでなく、筋硬結を改善するために目を向けるべきは、筋肉にかかる過剰なストレスを取り除くことです。
ここでいうストレスというのは精神的なストレスだけでなく、例えば姿勢悪いことで肩周りの筋肉にかかる負担が増すといった物理的なストレスも含まれます。
こういった肩の筋肉にかかる過剰なストレスを取り除かないことには、血液を巡らせてもすぐにまたアクチン繊維とミオシン繊維が連結し筋硬結ができてしまいます。
筋肉にかかる過剰なストレスの要因
それでは肩の筋肉に過剰にストレスがかかってしまう要因は何なのか?なんですが、もちろん単純に重たい荷物を何度も持ち運びしたり、荷物を肩に担ぐなどは肩の筋肉に過剰に負荷というストレスを与えることになります。
そういった筋肉にストレスとなる作業をなくせれればそれに越したことはありませんが、とは言っても仕事など実際にはなかなか除去することが難しいこともたくさんあるでしょう。
そうでなく、同じ作業であっても肩の筋肉への負担を大きくし過剰にストレスを与えてしまうのが姿勢です。
同じ立つという動作をとってみても、背中が丸まった猫背になってしまうと、肩と頭の位置が前に出てしまいます。
すると前に出た頭を落とさないように首から肩の筋肉が、重たい頭を引っ張り続けることになります。
これが背すじを正し姿勢が良い場合には、頭が背骨の上に乗っかっているため、頭を支えるためにそこまで肩や首の筋肉が働く必要がなくなります。
こういった差が肩の筋肉に過剰にストレスを与え、グリグリとしこりのような筋硬結を作りだしてしまうんです。
なので肩こりのグリグリとしたしこりのような筋硬結をなくすためには、まずは普段の姿勢を正すことを意識してください。
あなたの姿勢を崩しているのはなに?
さらに言うと、ここで考えてもらいたいのが、あなたの姿勢を崩しているのは何なのか?です。
例えばたまに言われる骨盤の歪みによって、骨盤が後傾しそれにより背中が丸まってしまっているのであれば、整体などで体を整えてもらう。
もし背筋や足の筋肉が落ちていて、姿勢を維持することができないのであれば、ジムに行ったりウォーキングを始める。
ここまで考えることがたまに言われることのある、肩こりの根本改善なんです。
筋硬結以外のしこりの原因
上記で肩にあるグリグリしたしこりのようなものは筋硬結だとお伝えしてきましたが、もちろんすべてがすべて筋硬結でなく、それ以外の原因によってグリグリとしたしこりが発生していることがあります。ここからは筋硬結以外の原因についてお伝えしていきます。
●粉瘤腫
粉瘤腫というのは本来ならば垢として排出されるはずの老廃物が、皮膚の下に溜まってしまう症状で、良性の腫瘍のひとつです。
始めは小さなしこりですが、老廃物がたまっていくと次第に大きく育って皮膚の上からでもグリグリとしたしこりがわかるようになっていきます。
大きくなると自分で垢を押し出すことができるようになりますが、垢がたまる袋を摘出しなければ再発しするため、大きくなっていたり、炎症を起している場合には皮膚科で取り除いてもらいましょう。
●脂肪腫
脂肪腫とは名前の通り、脂肪細胞が異常に増殖してしまったものです。
症状としては少し弾力のある柔らかいしこりを皮膚の下に触れ、良性腫瘍で通常炎症などがなければ痛みはありません。
良性腫瘍なので内臓に転移し命にかかわるようなことはありませんが、あまり大きくなってから治療すると、手術の傷痕が目立ってしまったり、手術に伴うリスクが大きくなりますので、ある程度の大きさに達したものは治療したほうが良いと考えられます。
●軟部肉腫
軟部肉腫は皮下組織や筋肉などの軟部組織と言われるところから発生する悪性腫瘍です。
体のあらゆる部分にできる可能性があるため、肩にできることもあります。
主な症状はしこりで、痛みは伴わないことが多いですが、神経の近くに発生したものや神経そのものに発生したもの場合、痺れや麻痺などの神経症状を伴うことがあります。
軟部肉腫は突然発生し急激に大きくなるという特徴があり、直径5cm以上になるグリグリとしたしこりは悪性腫瘍を疑った検査が必要になるので、病院を受診してください。
まとめ
肩こりの時に肩を触るとグリグリとしこりを触れる方もいるでしょう。
肩こりの時に触ることのできるグルグリとしたしこりは、「アクチン繊維」と「ミオシン繊維」は連結したままになった筋硬結である可能性が高いです。
筋硬結を改善するためには、新鮮なエネルギーを含む血液を巡らしてあげることと共に、筋肉に過剰にかかるストレスを取り除いてあげることです。
そのためにはまず姿勢を普段の日常生活から意識してみてください。
ただし、押しても痛みを感じないグリグリとしたしこりや大きく育っていくしこりは筋硬結ではなく、他の病気の可能性が高いと考えらるため、不安に感じる時には病院を受診してください。
記事提供者プロフィール
かんばし まさとし
奈良県御所市からすぐ神橋筋整体院の院長
お客さんの8割以上が腰痛・首痛で病院や整骨院など、どこに行っても治らなかったという悩みを持ち来店される。
その多くの方が痛いところだけ揉んだり電気を当てたりといったその場だけの治療ではなく、姿勢や痛みの原因となる根本から整えていく独自の施術法で改善し支持を得ている。
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