腰椎椎間板ヘルニアの時は
腹筋を鍛えるべき?
腰痛が続いていて、お尻から足にかけて痺れを感じることもあり、病院を受診すると腰椎椎間板ヘルニアと言われた…。こんな時、腰椎椎間板ヘルニアを治すためには腹筋運動がいいと言われることがあるけれど、これって本当?と、悩んでいませんか?
腰痛なんかの時に腹筋と背筋を鍛えましょう!なんてことは昔からよくよく言われることがあり、じっさいに病院で言われたことのある人もいることでしょう。
腰椎椎間板ヘルニアの時にも腹筋を鍛えましょうと言われることもあれば、反対に腹筋運動は腰椎椎間板ヘルニアを悪化させてしまうことがあると言われることもあります。
これってどっちが本当なの?と疑問に思っている人もいることでしょう。
そこで今回は腰椎椎間板ヘルニアと腹筋運動の関係についてお伝えしていきます。
どうして腰椎椎間板ヘルニアの時に腹筋運動が進められる?
ではどうして腰椎椎間板ヘルニアの時に腹筋運動が進められることがあるのでしょう?
これは特に人の体の中でも腰の部分がは脊椎(背骨)と腹筋で上半身の体重を支えています。そのため筋力が低下すると腰椎部分に負荷がかかり、腰椎の間にある椎間板にもつぶれるような負荷がかかることになるためです。
反対に腹筋を鍛えることで筋肉によって上半身を支えることができれば、腰椎や椎間板にかかる負荷が減少するため、腰椎椎間板ヘルニアの時に腹筋運動がすすめられることがあるんです。
さらにこれは腹筋だけに限りませんが、腹筋や背筋によって脊柱を支えられるようになるとよい姿勢を維持しやすくなります。
これが筋肉が弱ってしまうとよい姿勢を維持することが困難になってしまうため、姿勢が崩れ背骨のS字カーブが崩れてしまうことで、上半身の重たさをうまく分散することができなくなり、腰の部分、つまり腰の椎間板にかかる負担も大きくなり、腰椎椎間板ヘルニアに悪影響を与えてしまいます。
そこで筋肉を鍛えて、良い姿勢を長時間保てるようにし、腰の椎間板にかかる負担を減らすためにも腹筋運動がすすめられるんです。
腹筋運動には注意必要
それじゃあやはり腰椎椎間板ヘルニアの時には腹筋運動をしたほうがいいの?というと、必ずしもそうであるとは言えません。やはりその人の体の状態によります。
腹筋運動を含め筋トレというのは筋肉に負荷や負担を意図的にかけて、筋肉にダメージを与え筋繊維を損傷させます。
その損傷した部分を修復する時に、ダメージを受けた様な負荷や負担がかかっても次回からは損傷し壊れないようにするため、より強い筋肉がつくられるというのが筋トレのメカニズムです。
つまり意図的に体に負荷をかけるため、例えば腰椎椎間板ヘルニアの急性期や痛みの強いときなどに腹筋運動を行うと、ダメージを与えることで炎症などが起こり症状を悪化させてしまうことがあります。
なので痛みがある程度おさまり、比較的動けるような状態でなければ、おこなうべきではないでしょう。
また筋肉はダメージをうけて損傷すると柔軟性が低下し硬くなってしまいます。
この硬くなった筋肉に体が引っ張られれるため、無茶な筋トレや運動のし過ぎは良い姿勢を維持できるようにするどころか、姿勢を崩してしまうこともあります。
運動の種類にも気を付けて
さらに腰椎椎間板ヘルニアの時に腹筋運動を行う時には、その運動の方法にも気を付けてください。
腹筋運動と聞くと、寝転んでひざを曲げ、上半身を起してくる上体起しをイメージする方も少なくないでしょう。
ですがこのような腹筋運動は腰椎椎間板ヘルニアを悪化させてしまうこともあります。
これは寝そべった状態から上体を起してきた時に、腰の骨には曲がる負担が加わっています。
そして腰の骨が曲がろうとすることで、腰の椎間板を押し出そうとする圧がかかるためです。
ほかにも反動をつけて行う運動は腰椎椎間板ヘルニアを悪化させやすいです。
腰の椎間板は風船のような組織で、ゆっくりであれば風船をゆっくり押しつぶすように割れにくいですが、反動をつけて勢いよく寝そべっ状態から上体を起そうと腹筋運動を行うことで、風船が割れてしまうように椎間板が突出してしまいます。
さらに反動をつけた場合には、腹筋以外の筋肉の使用するために、狙った筋肉を効率よく鍛えることもできません。
腰に負担の少ない腹筋運動
上記のように、いくら腹筋運動を行っても腰に負担がかかってしまっては、腰椎椎間板ヘルニアを改善するどころか悪影響を与えてしまいます。
なので腰に負担の少ない運動で腹筋を鍛えてあげることが大切になります。
ここからは腰に負担の少ない腹筋を鍛えるの運動をお伝えしていきます。
●うつ伏せの状態から、つま先と肘を立てて身体を浮かす
腰への負担の少ない腹筋運動の一つに等尺性収縮を利用した運動があります。
等尺性収縮とは、例えば腕立て伏せのように腕の筋肉を伸び縮みさせるような運動でなく、筋肉の長さを変えないまま筋肉を収縮させる方法です。
利点として、関節運動を起こさないため関節にかかる負担が少なく、等尺性収縮を利用した運動は腰にかかる負担が少なくなることです。
●うつ伏せになり、その状態から肘を90度位に曲げてつま先を立ておなかを浮かし、腕立て伏せの構えのような体勢になり、その上体でキープしてください。
この時、お腹を少し凹ませるように力を入れ、お尻の穴も占めるように意識、お腹を浮かしすぎたり下げすぎないようにし、体を真っ直ぐに保つように心がけてください。
●足あげ運動
等尺性収縮を利用した運動でないものの、腰への負担が少なくできる腹筋運動に足あげ運動があります。
この運動の利点は腰椎のカーブを崩すことなく行えることで、それによって腰に負担が少なく、上記の運動よりも大きな負荷を腹筋に与えることができます。
●上向きで寝て、両足をゆっくりとあげていき45度くらいのところでとめてその場で5~10秒キープし、その後ゆっくりと足を下ろしてください。
ただし腹筋が弱い人が行うと、足を下ろす時に腰が反ってしまい腰椎椎間板ヘルニアに悪影響を与えることがあるので、その場合は足をあげる角度を低くして、行うようにしてください。
腹斜筋も一緒に鍛えよう
さらに腹筋を鍛えようと思った時に、六つに分かれる腹筋だけでなく、最近言われることのあるインナーマッスルと呼ばれる、体の内側にある腹斜筋を一緒に鍛えてもらうことで、腰椎椎間板ヘルニアの予防や改善にさらに役立ちます。
インナーマッスルは体の深い部分にあり、姿勢を調整したり、関節を保護・安定させる役割を担っており、インナーマッスルを鍛えることによって、腰の骨を安定させ腰周りの筋肉や椎間板への負担を減らすことができるからです。
ここからは腰椎椎間板ヘルニアの改善・予防をさらに効果的にするため、腹斜筋を鍛えるための運動を紹介していきます。
●片方の肘を床につけ、両足を伸ばしてそろえ、横向きで寝ます。腰を持ち上げ体が一直線になるようにしてそのままキープしてください。その後反対側も行ってください。
お腹を突き出したり、お尻を突き出したりせずに体を一直線にすることを意識してください。
●両腕を横に広げて両膝を曲げて上向きで寝ます。そこから足を揃えたまま膝を伸ばして足をあげていきます。足を左におろすように体をゆっくりひねっていき、足が床につかないギリギリのところまでおろし、その後身体を元に戻して今度は逆側にひねっていってください。
足を伸ばしてできない時には、膝を90度に曲げて行っていただくと負荷を抑えることができます。
まとめ
腰椎椎間板ヘルニアの時に腹筋運動を進められることがありますが、これは腹筋を鍛えることで筋肉によって上半身を支えることができれば、腰椎や椎間板にかかる負荷が減少したり、良い姿勢が維持しやすくなるためです。
それじゃあ腰椎椎間板ヘルニアの時には腹筋運動をしたほうがいいのか?というと、やはりその人の体の上体によって、痛みなどの症状が強い時には避けるほうがいいでしょう。
あと、腹筋運動の種類によっては腰に大きく負担がかかるモノがあり、一度は行ったことがある人も多い、上体起しはやめておくほうがいいです。
そういった腰に負担の大きい腹筋運動でなく、上記で紹介した運動など、腹筋運動を行う際には腰に負担の少ない物を選ぶようにしてください。
記事提供者プロフィール
かんばし まさとし
奈良県御所市からすぐ神橋筋整体院の院長
お客さんの8割以上が腰痛・首痛で病院や整骨院など、どこに行っても治らなかったという悩みを持ち来店される。
その多くの方が痛いところだけ揉んだり電気を当てたりといったその場だけの治療ではなく、姿勢や痛みの原因となる根本から整えていく独自の施術法で改善し支持を得ている。
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