便秘が肩こりの原因⁉その関係は?
なんだか最近便秘気味でおなかが張って苦しい…。それだけでも辛いのに、肩までこりだしてマッサージに行っても全然良くならない…と、悩んでいませんか?
「何日も便が出ない」「おなかが張って辛い」と便秘で悩む人もいらっしゃることでしょう。そんな方が同時にしつこい肩こりに悩むことは少なくありません。
一見すると便秘と肩こりとは全然関係なく思えるかもしれませんが、実はそんなことなくて、便秘と肩こりの関係は深く、時には便秘が肩こりの原因になってしまっていることもあります。
そこで今回は便秘と肩こりの関係や、便秘が肩こりの原因になってしまう理由などについてお伝えしていきます。
便秘が肩こりの原因になる
そもそも肩こりというのは、症状こそ肩が重苦しく感じたり、パンパンに張ったように感じたり、ゴリゴリに硬くなっているように感じたりと、いろいろな主訴がありますが、簡単に言ってしまうと、肩周りの血液の巡りが悪くなってしまうことで、肩の筋肉に新鮮な血液や酸素が送られず、疲労物質などの老廃物が溜まってしまうことで「こり」を発生させてしまった状態です。
つまり血液の巡りが肩こりと大きく関係しているんです。
そして便秘になると便が大腸内に長くとどまることで、水分がどんどん吸収されて硬い便になってしまい、硬くなった便は腸内で動かなくなり、さらに便がたまってしまう状態です。
便秘の状態が三日程度続くと、腸内に停留している便から臭いの原因にもなるアンモニア・硫化水素・クロストリジウムなどの腸内悪玉菌・発ガン物質など様々な有害物質が発生してしまいます。
これら有害物質は、一部が腸壁を通って大腸が吸収して血液に溶け込んでしまいます。
その有害物質によって質が悪くなった血液は血流を悪化させ血行不良を起こすことで肩こりの原因になってしまいます。
また血液に有害物質が溶け込むことで、本来筋肉に送るべき栄養や酸素を運搬できなくなり、代謝が衰え老廃物や疲労物質が溜まってしまうことも肩こりの原因となります。
さらに便秘によってポッコリとお腹が出てしまう人も少なくないでしょう。
するとその出たお腹に体が引っ張られてしまうことで体の重心は前に傾きやすくなり、お腹を突き出した姿勢をとることで背骨の本来持つS字のカーブが崩れてしまい、頭の重たさをうまく背骨が分散できなくなることで肩周りの筋肉が硬くなる原因になります。
反対に便秘によって出てしまったおなかを目立たせないようにしようと、おなかをひっこめて猫背気味になることも、頚椎(首の骨)のカーブを減少させて肩周りにこりを発生させる原因となります。
このように便秘が原因となって肩こりが発生してしまうことがあるんです。
便秘と肩こりの関係
また肩こりはストレスなどによって起こるといったことを耳にしたことのある人は少なくないでしょう。
このストレスによって自律神経が乱れてしまうことが便秘の原因にもなるため、言い換えれば、肩こりを起している体の状態というのは便秘を起す可能性があると言えます。
健康な状態の大腸は自律神経のコントロールのもと、伸び縮みしながら便を前に押し出していきます。
しかし過剰なストレスなどによってに自律神経が乱れると、大腸の動きが異常を起こし、腸の一部が狭まってしまうことで、便が通りづらくなってしまうのです。
庁が狭まり通り道が狭くなってしまえば、便は少しずつ進むしかありません。
そうやって時間をかけて通るうちに、便の水分はすっかり吸収されてしまいどんどんカチカチになって出にくくなることで便秘が発生してしまいます。
一方ストレスなどで自律神経が乱れてしまうと、血液の巡りは悪くなってしまいこれによって肩こりが発生してしまいます。
このように自律神経が乱れてしまうことで、便秘と肩こりを同時に発生させてしまうことがあります。
便秘と肩こりを改善する方法
便秘が原因で発生している肩こりや、肩こりと便秘が同時に発生している場合の改善ポイントは、もちろん腸の働き自体を改善していくことと自律神経を整えていくことです。
ここからは便秘と肩こりが同時に襲ってきたときの改善方法をお伝えしていきます。
●水分をしっかり飲む
便秘の人は水分が不足していることが少なくありません。また肩こりも体の水分不足が原因の一つになるとも言われています。
理想の便は約70-80%が水分でできていて、これよりも水分量が少ないとカチカチになって便秘を起しやすくなるため、普段からしっかりと水分を摂取することが大切です。
それじゃあやみくもに水をいっぱい飲めばいいのか?と言われるとそうではありません。
便の水分量が減ってしまう主な原因のひとつに、便の腸内滞在時間が長いということがあげられ、食物繊維が少ない食事のまま、水の摂取だけを増やしても腸内に滞在している内にどんどん水分が吸収されてしまうため、便秘解消の効果は薄いんです。
なので便の水分量をふやして腸内滞在時間を短くするためにも、食物繊維の摂取を増やさなければなりません。
コロコロした便やカチカチの便が出る人は、こんにゃくやメカブやワカメなどの海藻類、りんごやキャベツ、なめこなどのきのこ類を意識的にとるようにしてみてください。
そして1日の水分摂取目安は「30ml×体重kg」と言われていて、体重が50kgの人であれば1,5㍑が目安となります。
あと水分であれば何でもいいというわけでなく、利尿作用のあるお酒やカフェインの入った紅茶や珈琲は上記の目安の水分摂取とは別に水分をとるほうが方がいいでしょう。
●運動習慣をつける
消化した食べものを小腸から大腸へ移動させたり、食べものの残りカスである便を体外へ排出させたりする働きのことを「腸の蠕動(ぜんどう)運動」と言います。
便秘はこの蠕動運動の働きが低下してしまうことで、便を体外にうまく輩出できなくなって起こります。
運動不足になってしまうと、体の筋力はどんどんと低下していき、特にお腹周りの筋肉は蠕動運動を支えている筋肉で、そのお腹の筋力が低下してしまうことで腸の働きも悪くなって便秘を起してしまいます。
なので運動習慣をつけて筋力を落とさないようにすることが便秘の解消には必要となります。
また運動をおこなうことで血流を改善させ、代謝も促進し、筋肉を刺激することで柔軟性をつけることができるため、肩こりの改善にも役立ちます。
それじゃあ運動なら何でもいいのか?というと、あまりに激しい運動では疲労やストレスを蓄積させてしまうため逆効果になることもあるため注意してください。
有酸素運動は副交感神経のリズムを整えて、蠕動運動を活発にする効果があるため肩こりや便秘の解消に役立つので、目安としては毎日20~30分のウォーキングをまずは取り入れてみてください。
それ以外にも普段の生活の中にこまめに体を動かす習慣を身に付けることも大切です。
仕事場への行き帰りはひと駅分歩てみたり、エレベーターやエスカレータは使用せずに階段を上り下りしたり、電車やバスでは座らずに立つなども肩こりや便秘の解消のために効果的です。
●生活リズムを正す
便秘と肩こりに大きく関わる自律神経ですが、自律神経には朝目覚めてから日中にかけて活発に働く交感神経と、夜になるとからだをリラックス状態に導く副交感神経があり、この2つの神経の働きが交互にバランス良く働いています。
ですが仕事が忙しくて残業が続いたり、寝不足になってしまったり、朝起きる時間が日によってまばらだと、交感神経と副交感神経の切り替えがうまくいかなくなり自律神経が乱れた状態になってしまいます。
また生活リズムの中でも食生活のリズムは便秘と大きく関わっていて、いつも食べる時間がバラバラで不規則に食べ物が入ってくると、腸にとっては便となる材料があるべき時になくて、休むべき時に働かされるという状態になってしまうため大きな負担がかかってしまい、段々と腸は正常に働けなくなり、便秘になりやすくなるんです。
なので自律神経の乱れを改善したり、腸の働きを改善し肩こりや便秘を解消するためには生活リズムを整えることが大切なんです。
●お腹のマッサージや体操をおこなう
腸に便が溜まる理由のひとつは、腸の動きが鈍くなっていることです。
お腹周りのマッサージや体操は働きの悪い腸に直接刺激を与えることで、本来の働きを促すことができます。
また硬くなっていた腸をマッサージや体操で和らげることで、血行も良くなって温かくなり、腸の働きが活性化しやすくなります。
●マッサージの方法としては、簡単で効果的なのが、
1、おへその上に手のひらを置いて、その周辺をさすります。
2、おへその上に指を閉じて指先を置き、指先で「の」の字を書くようにマッサージを行います。
3、指先で腸の固くなっているところをピンポイントでほぐしてください。
●うつ伏せ運動は、床を使って腸全体に刺激を与えることができるので、マッサージするのと同様に便秘に良いと言われています。
1、うつ伏せになってお腹をペタッと床につけてそのまま10分間寝た姿勢を保つ。この時できる人は両腕を真上に上げてください。
2、両手を真上に上げて右に左に5回ほどゴロゴロと半回転して転がってください。
●冷え対策をおこなう
基礎代謝が低下し冷えが起こると、体の血液の巡りが悪くなってしまうことで、内臓への血流が不十分になり大腸の力が落ちて、便を排出する力が落ちてしまい、こうなると大腸に留まったままの便は水分を吸収され続けて硬くなるため便秘になってしまいます。
また血液の巡りが悪くなれば、肩の筋肉にも新鮮な酸素や栄養が巡らず、老廃物が蓄積されることで肩こりを発生させてしまいます。
このように冷えは肩こりと便秘を起す原因になるため、改善のためには冷えに対する対策が必要です。
冷えを改善するためにはもちろん先ほどお伝えした運動習慣も大切です。
それ以外にも冷えを解消するためにはお風呂でしっかり体を温めることが大切です。
どうしても一人暮らしの人なんかはシャワーで済ませるなんてこともあるでしょうが、やはり湯船に浸かることでカラダがリラックスして血流や代謝が向上し、疲労回復や体のコリ、冷え性解消にも期待ができるため、2~3日に一度は湯船につかるようにしてみてください。
湯船に入浴するときには、短い時間だと体の表面だけが温まり、芯は冷えたままになるため冷え性解消の効果が少なく、高い温度のお湯だと長時間浸かることが難しいので、38~40℃のぬるめのお湯に20分ほど浸かるようにしてみてください。
ほかにもシャワーでなく湯船に浸かると気分がリラックスするので副交感神経の働きが活発になり、胃腸の動きも活発になります。
そしておなかに適度な水圧がかかるので胃腸のマッサージ効果も期待できます。
お風呂から出た後は濡れたタオルを巻いて過ごしていたりすると、濡れたタオルから体温がどんどん奪われてしまい、お風呂で温まった体も冷えてしまう恐れがあるので、お風呂からあがった時にはしっかりと体の水気をふき取って、部屋着やパジャマをきてください。
●寝不足禁止
腸をはじめとする消化器や呼吸器、循環器というのは24時間絶え間なく自律神経によって調節されて働き続けています。
先ほどもお伝えしたように自律神経は活動しているときに活発になる交感神経と、リラックスしているときに働く副交感神経の二つがバランスをとり合って働いていて、腸をはじめとする消化器官は、副交感神経が優位になっているとき活動する仕組みになっています。
夜眠っている時というのはリラックスモードの副交感神経が働くので腸などの消化器官の動きも活発になります。
そして、夕食に食べたものを小腸から大腸へと運び便が作られるのです。
けれども睡眠が不足すると、副交感神経の働きが不十分になり、腸がきちんと働かず便がうまく作れなくなったり腸の動きが衰えてしまうことで便意の原因になってしまいます。
また寝不足になると、頭がボーッとしたり疲れがたまったりして、「食べたい」という欲求も起こりにくくなるため、便の材料自体が不足して便秘になることも考えられます。
もちろん体というのは寝ている間に自然治癒力が高まり、疲労したり日常生活でできた傷を回復してくれますが、睡眠時間が短いと自然治癒力が低下してしまい、日中に頭を支えたり働いた首や肩の筋肉が回復できないため、翌日に疲労を持ち越してしまうことで肩こりの原因にもなります。
このように睡眠は肩こりや便秘に影響を与えるため、夜はしっかりと睡眠をとるように心がけてください。
●食生活をバランスよく
先ほどもお伝えしたように食べるものによって便の水分量に違いが出るため、水溶性食物繊維を含む海藻類・キノコ類・果物類を意識的にとるように心がけてください。
不規則な食事や食事の偏りは腸の働きに直接影響を与え、例えばレトルト食品やファストフード、コンビニ弁当など高カロリーに偏った食べ物は、腸内に老廃物や毒素がたまりやすい傾向にあるため、便秘の原因になります。
腸の働きを活発にして便秘を解消するためにも、脂質、炭水化物、糖質、ミネラル、ビタミンという五大栄養素をまんべんなく食べることが大切です。
そこへヨーグルトなどの乳酸菌を含む食べ物や、味噌や納豆などの発酵食品を朝食に摂り入れることで、腸内環境が整えられるのでさらに便秘の解消に効果があります。
反対に脂肪分の多いお肉は、消化に12時間はかかってしまうため、腸に余分な負担がかかってしまいます。
なので肉食に傾かないようにしたり、脂肪の少ない赤みを食べるようにしたり、野菜も一緒に食べて腸への負担を少なくしましょう。
ほかにもお茶・コーヒー・ワイン・渋柿などに含まれるタンニンは、腸に膜を作る作用があるため、腸の働きを低下させて便秘を起しやすくなります。
お菓子やケーキなどの甘いものも便秘の原因となり、糖分は腸内に存在する悪玉菌の大好物なので、甘いものばかりためていると腸内に悪玉菌が増えて腸の働きを低下させてしまうためです。
また食事の時間もバラバラではなく規則正しく摂ることが大切で、特に朝食をしっかり食べると、腸の動きが活性化され、便が適度な大きさになるので便通は改善されやすくなります。
●ストレスをため込まない
ストレスが原因で肩こりや、ストレスが原因で便秘などといったことは耳にしたこともある人も多いでしょうが、ストレスをため込むことで自律神経が乱れてしまい、胃腸の働きが低下して便秘になったり、血液の巡りが悪くなって肩こりを発症してしまうことがあります。
普段の生活からストレスをため込まず、発散する方法を模索してみてください。
●便意を我慢しない
排便の我慢も便秘傾向が高まってしまいます。これは便意を我慢し続けると、便意は我慢するものだと脳が思い込んでしまい、その結果思うように排便ができなくなっていきます。
なので便意を感じたらできるだけ早くトイレに行く習慣をつけることも便秘の解消には大切です。
便秘薬に頼りすぎない
便秘が続いて辛い…なんてときに便秘薬を使用して便を出したことのある人もいるでしょう。
長い間、腸に便がため込まれてしまうと、ますます水分が吸収されてさらに硬くなってしまうため、便は大腸の中で渋滞して便秘は悪循環になってしまいます。
なのでこんな時には便秘薬を使用してすぐに便を出してしまうことも悪いことではありません。
しかし下剤などの便秘薬は便秘を治してくれるお薬ではなく、あくまで強制的に出しているので根本的な便秘の改善にはなっていません。
薬の使用が習慣化すると、体が薬に順応してしまい自然な便意がなくなってきます。こうなるとより強い下剤がないと排便ができなくなります
このように便秘薬はあくまでも緊急回避方法であり、便秘が治るわけではありません。頼りすぎにはくれぐれも注意し、面倒化もしれませんが、便秘の原因となる生活習慣から見直していくようにしてください。
まとめ
便秘と共に肩こりに悩んでいる…なんて人もいると思いますが、便秘と肩こりの関係は深く、時には便秘が肩こりの原因となることもあります。
これは便秘が続くと便から有害物質がで発生し、その有害物質が腸壁を通って大腸が吸収して血液に溶け込んでしまうことで、血液の巡りが悪くなってしまったり、便秘で出たお腹によって姿勢が崩れてしまうためです。
また便秘の原因となる自律神経の乱れは、肩こりの原因にもなるため、肩コリと便秘に同時に悩むことも少なくないんです。
これらの便秘や肩こりを解消させるためには、腸の働き自体を改善していくことと自律神経を整えていくことが大切です。
そのためには上記でお伝えした解消方法を参考に、普段の日常生活を見直し、改善していってください。
また便秘薬はあくまでも緊急回避方法であり、便秘自体を治してくれるものではありません。
それどころか使用しすぎると、便秘薬なしには排便ができなくなってしまうため、くれぐれも頼りすぎにならないようにしてください。
記事提供者プロフィール
かんばし まさとし
奈良県御所市からすぐ神橋筋整体院の院長
お客さんの8割以上が腰痛・首痛で病院や整骨院など、どこに行っても治らなかったという悩みを持ち来店される。
その多くの方が痛いところだけ揉んだり電気を当てたりといったその場だけの治療ではなく、姿勢や痛みの原因となる根本から整えていく独自の施術法で改善し支持を得ている。
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