腰痛と共に尿漏れが起こる原因はなに?
なかなか人に相談しにくいけれど、最近腰痛に悩まされていて、時々尿漏れを起こしてしまう時がある…これって何が原因なの?と、悩んでいませんか?
私もこれまで10年以上、整骨院や整体院など人の体を見せてもらう仕事をしていて、めったに相談を受けることはありませんが、ごくまれにこのような腰痛と尿漏れに悩むといった相談を受けることがあります。
それほど年齢もいってないのに尿漏れをすることが出てくると、何か大き病気なのかな?と心配にもなりますよね。
そこで今回は、腰痛と共に尿漏れを起こしてしまう原因について考えられるモノをお伝えしていきます。
腰椎椎間板ヘルニアによるもの
腰痛と共に尿漏れを起こすようになった時にまず考えられる原因としては、腰椎椎間板ヘルニアがあります。
ちょくちょく耳にしたことのある病名だと思いますが、人の背骨は椎骨とよばれる24個の骨が積み重なってできていて、この椎骨と椎骨の間に椎間板と呼ばれるクッションの役割を担う組織があります。
椎間板は2重構造になっていて、線維が樹木の年輪のように重なってできた線維輪がゼラチン状の組織である髄核を包み込むような構造です。
そして椎間板の変性や、腰椎に負荷がかかり椎間板内圧が高まってしまうことで、線維輪に亀裂が生じて中の髄核が脱出し脊髄を圧迫してしまうのが腰椎椎間板ヘルニアです。
腰椎椎間板ヘルニアで代表的な症状が、腰やお尻や足へ行く神経をヘルニアが圧迫することで起こると言われる、腰痛やお尻、太もも、足などの痛みや痺れです。
そしてこの時、膀胱へ行く神経も圧迫されてしまうことで排尿障害が起こり、尿がスムーズに出なくなったり、尿漏れを起こしてしまうことがあります。
このように腰椎椎間板ヘルニアの時には、腰痛と共に尿漏れを起こすようになることがあります。
尿漏れをきたす腰椎椎間板ヘルニアには注意が必要
腰痛があり腰椎椎間板ヘルニアと診断されても最近では、即手術ということは少なくなってきています。
これは脱出した髄核はマクロファージなどに吸収されて、自然に縮小する可能性があるためです。
さらに最近では椎間板の突出が残ったままでも、腰回りや骨盤の筋肉を整えることで痛みや痺れの症状が消失する症例も見かけることがあります。
このように「ヘルニア=手術」ではなくなって来ているものの、ただし尿漏れを起こす腰椎椎間板ヘルニアには注意が必要です。
こういった仕事を何年もしていると、腰椎椎間板ヘルニアの方を何人も見せていただいたりお話を聞く機会も多々あり、これはそういった私の経験からなんですが、腰痛と共に尿漏れなど排尿障害が起こっている腰椎椎間板ヘルニアは、手術を受けるべきであると考えています。
もちろん腰痛や足の筋力低下と共に尿漏れなどの排尿障害で手術をした方のお話も何人も聞いてきて、手術をしたからと言って、必ずしもすべての症状が改善するとは限りません。
やはり何人かは手術をしても痛みや排尿障害は変わらなかった…という人もいらっしゃいました。
それでも、尿漏れなどの排尿障害を起こす腰椎椎間板ヘルニアは、時間とともに歩行障害を起こして寝たきりになることもあるためです。
なので早くに手術を行い、できるだけ早期からリハビリを行っていくべきであると考えられるからです。
このように最近では保存療法が選択されることも多い腰椎椎間板ヘルニアですが、腰痛と共に尿漏れなどの排尿障害を起こしている時には注意が必要です。
脊柱管狭窄症によるもの
腰椎椎間板ヘルニアと同じように神経圧迫によって腰痛と尿漏れを起こしてしまう原因に、脊柱管狭窄症があります。
背骨は上記でお伝えしたように24個の椎骨が積み重なってできていますが、この24個の椎骨が脊髄を通す管をつくっていて、その脊髄を通す管が何らかの原因によって狭まり、脊髄が圧迫されてしまうのが脊柱管狭窄症です。
代表的な症状が間欠性跛行という、歩いていると腰から足などにかけて痛みや痺れが出て、体を丸めて休憩しないと続けて歩けないといった症状です。
ただ腰椎椎間板ヘルニアと同様、膀胱へ行く神経が圧迫されてしまうことで排尿障害が起こり、尿漏れを起こしてしまうことがあります。
そしてこれも腰椎椎間板ヘルニアと同様ですが、脊柱管狭窄症のときに排尿障害が起こっている時には、私の経験から言うと即手術を視野に入れた選択が必要であるため、注意が必要です。
骨盤底筋のゆるみによるもの
上記の腰椎椎間板ヘルニア以外に腰痛と尿漏れを起こしてしまう原因で考えられるのが、骨盤底筋のゆるみです。
骨盤底筋とは、腸や膀胱・子宮などの臓器を下から支える骨盤の底を覆っている筋肉で、収縮・弛緩することで尿や便の排泄をコントロールしています。
この骨盤底筋が加齢や運動不足による筋力低下、閉経期に女性ホルモンの分泌が低下して筋肉に張りが無くなる、妊娠や出産のときに傷めてしまうことで骨盤底筋が衰えてしまい、尿漏れや失禁、便秘などの排尿・排便障害が起こりやすくなってしまいます。
そして骨盤底筋が衰えてしまうと、普段から姿勢が崩れやすくなり、体の軸がぶれて体が左右に傾いたり外側に流れる姿勢になってしまったり、骨盤が後ろに倒れて猫背のような背中を丸めた姿勢などになってしまいます。
すると背骨の本来持つS字のカーブが崩れることで、腰椎(腰の骨)の前弯のカーブが増強したり減少し、腰周りの筋肉や腰椎にかかる負担が大きくなり腰痛を起こしやすくなってしまいます。
このように骨盤底筋が緩んでしまうと、尿漏れや腰痛を起こしてしまうことがあります。
骨盤底筋のトレーニング
上記のように骨盤底筋が緩んでしまうと、尿漏れや腰痛を起こしてしまうことがあるため、ここではその改善方法として骨盤底筋のトレーニングをお伝えしていきます。
●壁に手をあてて両足を揃え、背中を丸めたりせずに背すじを伸ばし正しい姿勢で立ちます。
その姿勢のまま息を吸って吐きながらつま先立ちになり10秒キープ。
この時、ヒップの筋肉を内側に引き寄せるように意識して行い、その後ゆっくりとかかとを下ろします。これをまずは10回を目安におこなってください。
●椅子に背すじを伸ばし骨盤を立てて姿勢を正して浅く座ります。太ももの内側にタオルやクッションをはさみ10秒キープしてください。
タオルを挟むとき、肛門・膣・尿道をしめることを意識して、これをまずは10回を目安におこなってください。
●仰向けで寝て両膝を立てます。そこから体がまっすぐになるようにお尻を持ち上げて10秒キープしてください。
このお尻を持ち上げ過ぎず体をまっすぐに保ち、肛門・膣を引き締めることを意識し、その後ゆっくりと体を下ろしてください。これを10回程行ってください。
膀胱炎によるもの
他にも尿漏れと腰痛が起こる原因として膀胱炎や腎孟腎炎があります。
膀胱炎は尿をためる袋である膀胱が、外部から大腸菌などの腸内細菌など、尿道をさかのぼって膀胱の中に雑菌が入り増殖することにより炎症を引き起こす病気です。
腎孟腎炎は細菌が膀胱から腎臓の腎孟まで炎症が広がってしまう病気です。
これら膀胱炎や腎孟腎炎の時には尿漏れや腰痛といった症状を出すことがあります。
なので尿漏れや腰痛だけでなく、排尿の時に痛みを伴ったり、尿が混濁していたり、発熱を伴う時には病院を受診するようにしてください。
まとめ
なかなか人には相談しにくいことですが、腰痛と共に尿漏れを起こすことがある…と悩んでいる人もいるでしょう。
腰痛と共に尿漏れを起こす原因としては、腰椎椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症のように神経圧迫を起こし、膀胱へ行く神経を圧迫することで排尿障害を起こす疾患があります。
他にも、腰痛と尿漏れ以外に排尿の時に痛みを伴ったり、尿が混濁していたり、発熱を伴う時には膀胱炎が原因で症状が起こっていることもあります。
またこういった疾患でなくても、骨盤底筋が緩んでしまうと尿の排泄をコントロールできず、姿勢が崩れやすくなるために腰痛を一緒に起こすこともあります。
尿漏れを起こす腰椎椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症、膀胱炎の時にはできるだけ早期の治療を要するため、病院を受診するようにしてください。
そういった疾患なく、腰痛と尿漏れの症状を起こす時には、上記でお伝えした骨盤底筋のトレーニングを行ってみてください。
記事提供者プロフィール
かんばし まさとし
奈良県御所市からすぐ神橋筋整体院の院長
お客さんの8割以上が腰痛・首痛で病院や整骨院など、どこに行っても治らなかったという悩みを持ち来店される。
その多くの方が痛いところだけ揉んだり電気を当てたりといったその場だけの治療ではなく、姿勢や痛みの原因となる根本から整えていく独自の施術法で改善し支持を得ている。
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