頚椎ヘルニアと腰椎ヘルニアの違い
椎間板ヘルニアって言葉はよく聞くけれど、頚椎ヘルニアとか腰椎ヘルニアとか同じヘルニアだけれど何が違うの?と、疑問に思っていませんか?
最近は本当によく聞くことの多くなった椎間板ヘルニアというワード。あなたの周りの人やや、もしかしたらあなた自身がヘルニアと言われことあるかもしれませんね。
でも椎間板ヘルニアとか、頚椎ヘルニアとか、腰椎ヘルニアとか色々似たような言葉を聞くけれど、結局何が違うの?と疑問に思ったことのある人もいるでしょう。そこで今回は頚椎ヘルニアと腰椎ヘルニアとの違いについてお伝えしていきます。
椎間板ヘルニアとは?
そもそも椎間板ヘルニアとはどういったものなのか?なんですが、背骨は24個の骨が積み木のように重なってできています。
そしてその骨の椎体と呼ばれる部分と椎体の間には、クッションの役割を担っている椎間板という組織があります。
その椎間板が押し出され突出し後ろを走る脊髄神経を圧迫した状態を、一般的に椎間板ヘルニアと言われています。
ちなみにヘルニアというのは、身体の中の一部があるべき場所から出てきてしまった状態を指していて、いわゆる「でべそ」も「臍(さい)ヘルニア」と呼ばれる病気です。
どうして椎間板ヘルニアになるの?
では何が原因で椎間板が飛び出し、椎間板ヘルニアを発症してしまうのか?
これは本当に色々な要因があり、例えば加齢や重いものを持ったときの負荷、運動不足によって椎間板の柔軟性が失われること、反対に激しい運動で椎間板を傷つける、姿勢の悪さで椎間板に持続的に負荷がかかってしまう、筋力低下によって、睡眠不足で体の疲労が取れていない、交通事故などの大きな衝撃などなど、あげるときりがありませんが多くの場合、どれか一つによって椎間板が突出することはまれで、こういった要因がいくつも重なり合うことで椎間板ヘルニアが発症すると考えられます。
お年寄りに多い傷病なのかな?と思われている人もいるかもしれませんが、決してそんなことはなく40~50歳代、20~30歳代にも珍しい疾患ではありません。
ここでは椎間板ヘルニアのすべての原因については触れることはできませんが、もう少し詳しく個々の原因について知りたい場合には、当店のブログの他の記事を参考にしてみてください。(神橋筋整体院のブログへ)
頚椎ヘルニアと腰椎ヘルニアの違いって?
それじゃあ頚椎ヘルニアと腰椎ヘルニアって?というと、椎間板ヘルニアというのは頚椎ヘルニアと腰椎ヘルニアのどちらも含めた総称で、椎間板ヘルニアを詳しく細分化したなかに頚椎ヘルニアと腰椎ヘルニアとがあります。
そして頚椎ヘルニアと腰椎ヘルニアの違いは?というと、一番はヘルニアの起こっている場所が違います。
椎間板ヘルニアのなかで、頚椎(首の骨)で起こっているモノが頚椎ヘルニアで、腰椎(腰の骨)で起こっているモノが腰椎ヘルニアです。
簡単に言ってしまえば、ヘルニアが首で起こっているのか?腰で起こっているのか?ですね。
症状の違いは?
それじゃあ頚椎ヘルニアと腰椎ヘルニアの時に発症する症状はどのような違いがあるのか?なんですが、椎間板ヘルニアの症状としてはこれも多様なモノがあり、一般的に多いのが痺れや痛み、他にも筋力低下や知覚異常、運動障害、麻痺、排泄障害など様々です。
そして頚椎ヘルニアの場合は頚椎(首の骨)の部分でヘルニアが起こっているため、一般敵にはそれらの症状が肩や首周り、腕や手など上半身を中心に症状が出ることが多いです。
腰椎ヘルニアの場合は、腰椎(腰の骨)の部分でヘルニアが起こっているため、腰やお尻、足など下半身を中心に症状が出ることが多いです。
それじゃあ首や肩、腕周りに症状が出るのが頚椎ヘルニアで、腰やお尻、足に症状が出るのが腰椎ヘルニアなのかというと、必ずしもそうでないところがややこしいんです。
頚椎ヘルニアの場合でも、腰やお尻、足など下半身に痛みや痺れ、歩行障害、知覚異常、排泄障害などの症状があります。
なので腰やお尻、足の症状だからって腰椎ヘルニアとは言い切れないんです。
ただし反対に上半身の症状が腰椎ヘルニアで起こるといったありません。
これは腰椎からは上半身を支配する神経は出ておらず、例え腰椎で椎間板が突出しその圧迫が悪化したとしても、手の痺れといった支配していない上半身の神経症状を起こすことはないからです。
同時に起こることもある
腰椎ヘルニアで上半身の症状は出ることがないとお伝えしましたが、椎間板ヘルニアは必ず一か所で起こるとは限らず、腰椎ヘルニアを発症している時には、頚椎ヘルニアも発症してしまうということは、それほど多くはありませんがあります。
なのでこの場合は、腰椎ヘルニアと診断されていて、実は頚椎にもヘルニアがあったなんて時には、上半身と下半身に症状が出てしまいます。
どうやって頚椎ヘルニアか腰椎ヘルニアか見分けるの?
それじゃあどのようにして頚椎ヘルニアや腰椎ヘルニアなど、どの部分で椎間板ヘルニアが発症しているのか見分けるのか?というと、目に見える形で確認するにはMRI検査が有用です。
病院によっては造影剤などを使用せずにレントゲンだけを撮って、椎体と椎体の間隔などでヘルニアを鑑別するところもありますが、あくまでレントゲンには椎間板が写らず骨だけしか写らないため、実際にヘルニアがあるのか?また、どこで起こっているのか?を見極めるためにはMRI検査が有用だと考えられます。
機械を使わない見分け方
上記のようにMRIなど、機器を使って検査をするほうが確実ですが、ここではそういった機器を使わずに検査する方法をお伝えしていきます。
●腰椎ヘルニア
■ケンプ兆候
軽く両足を広げて立った状態から腰を横に傾け、後ろに反らせて行きます。
体を傾けた側の腰から足にかけて電気が走るような痛みが出れば、腰椎ヘルニアを疑います。
■下肢挙上テスト
上向きに寝ている状態から、もう一人に片足を膝を伸ばしたまま持ち上げてもらいます。
この時、足を上げた角度が70度以下で足の後ろに電気が走るような痛みが出れば、腰椎ヘルニアを疑います。
●頚椎 ヘルニア
■スパーリングテスト
椅子に座り、症状のある側へ頭を横に倒し、もう一人に頭頂部から圧迫を加えてもらう。
頭を傾けた側の腕や手に痛みや、痺れが出れば頚椎ヘルニアを疑います。
■ジャクソンテスト
椅子に座り、頭を側屈または後ろに倒して、もう一人に頭頂部から圧迫を加えてもらう。
健常者には疼痛が誘発しないが、上肢に痛みや痺れが出たり、増強すれば頚椎ヘルニアを疑います。
もちろん治療方法も違う
頚椎ヘルニアと腰椎ヘルニアは発症している場所が違うため、当然治療方法が異なってきます。
体というのはすべてがつながりバランスを取り合っているため、腰椎ヘルニアだから腰だけを治療しましょう、または頚椎ヘルニアだから首だけを治療しましょう、といったことは言いませんが、それでも当然椎間板ヘルニアを発症している場所によって治療方法や生活での注意点は変わってきます。
最近では椎間板ヘルニア=即手術ということは減っていているため、必ずしも治療方法は手術だけとは限りません。
これは突出した椎間板はマクロファージによって吸収されたり、椎間板の突出があったとしても、筋肉の状態や炎症が収まることで痛みやしびれなどの症状が改善することがあるためです。
もちろん症状によっては即手術といったこともありますが、必ずしも手術しかない…というわけではありません。
ただし上記のように頚椎ヘルニアと腰椎ヘルニアとでは治療方法も異なるため、きちんとMRIなどの検査で明らかにしておくことも悪くないと考えています。
まとめ
最近では椎間板ヘルニアという言葉はよく聞くことがありますが、頚椎ヘルニアと腰椎ヘルニアは何が違うの?と、疑問に思っている人もいるでしょう。
頚椎ヘルニアと腰椎ヘルニアとの違いは簡単に言ってしまえば、椎間板が突出しヘルニアを起こしている場所が違うんです。
そのため症状も、頚椎ヘルニアでは首や肩、腕などの上半身に出ることが多く、腰椎ヘルニアでは腰やお尻、足などの下半身に出ることが多いです。
ただし頚椎ヘルニアの場合には下半身にも症状が出ることがあり、反対に腰椎ヘルニアの場合は上半身に症状が出ることはありません。
見分ける方法としてはレントゲンやCTなどもありますが、一番はやはりMRI検査が有用です。
もちろん腰椎ヘルニアと頚椎ヘルニアでは治療方法や注意点も変わってくるため、全身に痛みや痺れがあるなんて時には、しっかりと検査で原因を見極める必要があります。
記事提供者プロフィール
かんばし まさとし
奈良県御所市からすぐ神橋筋整体院の院長
お客さんの8割以上が腰痛・首痛で病院や整骨院など、どこに行っても治らなかったという悩みを持ち来店される。
その多くの方が痛いところだけ揉んだり電気を当てたりといったその場だけの治療ではなく、姿勢や痛みの原因となる根本から整えていく独自の施術法で改善し支持を得ている。
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