頚椎ヘルニアの時に見られる
しこりの原因は?
腕に痛みや痺れがあって病院で検査を受けると頚椎椎間板ヘルニアと言われ、ちょっと肩周りを触っていたら「しこり」のようなモノが触れるけれど、これって頚椎椎間板ヘルニアのせいなの?と、疑問に思っていませんか?
鏡などで見ることはあっても、自分自身で肩や首周りをそんなにしっかりと触ることって案外少ないですよね。体を洗う時もタオルごしだったりしますし。
なんでふと触ってみた時に皮膚の下になんだかコリッとした感触があったら大丈夫なのか心配になる人もいるでしょう。
そこで今回が頚椎椎間板ヘルニアとしこりとの関係について考察していきます。
筋硬結によって
頚椎椎間板ヘルニアの時に、肩周りに触れることのできる固いしこりで多いのが筋硬結と呼ばれるモノです。
筋肉は筋繊維とよばれる細長い細胞が無数に寄り集まってできていて、激しく運動したり負荷が持続的にかかったりすると、この繊維の一本一本が傷つき、その後修復されていきます。
その筋繊維が傷ついた後、修復が不完全な状態で止まってしまったものが筋硬結となり、塊状のしこりとして触れることができるようになります。
頚椎椎間板ヘルニアを発症している人というのは多くの場合、首や肩周りに仕事や生活習慣、姿勢などによって負担がかかり続けたためにヘルニアを発症してしまっているため、もちろん首や肩周りの筋肉にも負担がかかっていて、筋繊維が傷つき筋硬結ができてしまっていることが少なくありません。
また頚椎椎間板ヘルニアは頚部の椎間板が突出して神経を圧迫した状態ですが、神経が圧迫されてしまうと、筋肉へ送られる信号が適切に送られない伝達障害が発生することがあります。
すると信号が適切に送られなくなった筋肉というのは、うまく思うように働かせず力を発揮できなくなってしまい、疲労しやすくなるため、上記のような筋硬結によるしこりを触れやすくなってしまいます。
このように頚椎椎間板ヘルニアの神経圧迫や、頚椎椎間板ヘルニアを発症してしまう体の状態が原因でしこりを触れることがあると考えられます。
ただし触るとプニプニと柔らかかったり、だんだん大きくなり皮膚の上からでも形がわかるようなしこりは筋硬結ではありません。
リンパの巡りが悪くなることによって
また筋硬結以外に他にも頚椎椎間板ヘルニアの時にしこりを触れることがある原因に、リンパの巡りが悪くなっていることが挙げられます。
リンパ節が腫れても、通常は大きさも小さくほとんど触れませんが、体表に近い部位のリンパ節が腫れると、首を傾けたり仰向けになったりしたときなどにしこりとして触れやすくなります。
リンパ液というのは体内の老廃物や雑菌、不要な水分などを回収してリンパ節に運び込む働きをしていて、リンパ液は筋肉の収縮によってリンパ腺の中をゆっくりと流れリンパ節へ流れていきます。
そのため、頚椎椎間板ヘルニアを発症してしまうときには首や肩周りの筋肉が緊張状態にあることが少なくないため、その緊張した筋肉がリンパ管を圧迫したり、筋肉の働きが落ちてリンパ液がうまく流せなくなり、リンパが腫れてしこりのようになることがあります。
また上記でお伝えしたように、頚椎椎間板ヘルニアによる神経圧迫で筋肉の働きが低下してしまうこともリンパ液の流れが悪くなり、しこりを作ってしまうことが考えられます。
筋硬結やリンパ液の流れが悪くなったしこりの改善方法
筋硬結やリンパ液の流れが悪くなり発生したしこりを改善するためには、まずは固くなってしまっている首や肩周りの筋肉をやわらげ、血液の巡りをよくすることが必要です。
ただしこの時、力いっぱいグイグイと揉み解したり、反動をつけて体操やストレッチをすると、余計にしこりが大きくなったり痛みが悪化したり、長引いてしまうこともあるため気を付けてください。
特に頚椎椎間板ヘルニアの時には強い刺激を首周りに与えることで、痺れなども悪化してしまうケースがあるため、力ずくの治療はおススメできません。
そして首や肩周りの筋肉をやわらげるとともに、肩や首の筋肉に負担をかけてしまっている生活習慣などを見直していくことも大切です。
例えば悪い姿勢は頭の位置によって頚椎にかかる負担が大きく変わるため、改める必要がありますし、体を動かすことが少ないのも筋肉が動かないために血液の巡りが悪くなり、筋硬結やリンパ液の流れを悪くしてしこりが治りにくくなります。他にも体を冷やすことも血液の巡りを悪くしてしまうため、しこりの改善のためにはこういったことを一緒に見直していかなければ、改善しなかったり何度もしこりが再発してしまうことが考えられるからです。
頚椎椎間板ヘルニアとは全く関係なく起こる「しこり」
上記でお伝えしたような、少なからず頚椎椎間板ヘルニアと関わりのある「しこり」ではなく、まったくそれとは無関係に起こるしこりもあります。
ここからは、頚椎椎間板ヘルニアとは無関係に起こるしこりをいくつか紹介していきます。
●粉瘤腫
粉瘤腫というのは新陳代謝によって、本来ならば表皮から剥がれ落ちる垢などの老廃物が、皮膚内部に溜まることによってできる良性の腫瘍のひとつです。
始めは小さなしこりですが、老廃物がたまっていくと次第に大きく育って皮膚の上からでもわかるようになり、膨らんだしこりの中央に、黒い点の開口部があるのが特徴です。
大きくなると自分で垢を押し出すことができるようになりますが、いくら垢を押し出しても、垢を溜める袋を取り除かない限り何度も再発してしまいます。
炎症を起こしたり、大きく育ってきたりした場合には皮膚科を受診し処置をしてもらうことをお勧めします。
●脂肪腫
脂肪腫というは皮下脂肪細胞が一か所だけ異常に増殖してしまったもので、身体の各部に発生しますが、背部、肩、頸部などに多く大きさは数mm径の小さなものから、直径が10センチ以上に及ぶものまでいろいろです。
基本的には痛みなどの症状は無く、皮膚がドーム状に盛り上がり、柔らかいしこりとして触れます。
脂肪腫は液体ではないので注射器などで抜き取ることはできず、治療は手術による完全切除が一般的のようです。
●リンパ節腫脹
先ほど頚椎椎間板ヘルニアによる神経圧迫や筋肉の緊張でリンパが腫れることがあるとお伝えしましたが、リンパが腫れる原因はそれだけでなく、ウイルスや細菌の感染によって炎症が起きリンパ節が腫脹することがあります。
腫れた部位は痛みをともない同時に発熱や倦怠感を伴うこともありますが、通常は抗菌薬や消炎鎮痛薬の投与により1~2週間で良くなります。
●軟部肉腫
軟部肉腫は皮下組織や筋肉などの軟部組織と言われるところから発生する悪性腫瘍で、体のあらゆる部分にできる可能性があるため、肩などにしこりを触れることもあります。
痛みは伴わないことが多く、深部に発生した場合はかなり大きくなってからはじめて気が付くこともまれではありません。
神経の近くに発生したものや神経そのものに発生したものは、腫瘍でもしびれや麻痺などの神経症状を伴うことがあります。
直径5cm以上になるしこりは悪性腫瘍を疑った検査が必要になるので、病院を受診するようにしてください。
気になる肩や首の「しこり」は病院へ
肩や首にできたしこりが強い痛みを出したり、反対に押さえても全く痛みものなくプニプニとした触感だったり、段々としこりが多きなるような時、いつまでたっても全然変化のない時などは一度病院で検査を受けるようにしてください。
そういったしこりは頚椎椎間板ヘルニアとは無関係で、中には上記でお伝えしたような悪性腫瘍の場合もあるからです。
まとめ
頚椎椎間板ヘルニアと病院で診断された人の中には、肩や首にしこりを触れることができるなんて人もいるでしょう。
そのしこりの原因で多いのは筋硬結で、頚椎椎間板ヘルニアを発症する人は普段から首や肩の筋肉にも負担がかかっているため、筋繊維が傷つきやすく、椎間板の突出で神経が圧迫されることで、筋肉へ送られる信号が適切に送られない伝達障害が発生するため、筋硬結が起こりやすくなっています。
他にも肩や首の筋肉が固くなっていたいり、神経の圧迫で筋肉への伝達障害が発生することで、リンパ液の流れが悪くなりリンパが腫れてしこりとなることも考えられます。
もちろん頚椎椎間板ヘルニアとは全くの無関係のしこりもあり、粉瘤腫や脂肪腫、リンパ節腫脹、軟部肉腫などのしこりかもしれないため、強い痛みや大きなしこり、いつまでたっても変化のないしこりの場合は一度病院で検査を受けるようにしてください。
記事提供者プロフィール
かんばし まさとし
奈良県御所市からすぐ神橋筋整体院の院長
お客さんの8割以上が腰痛・首痛で病院や整骨院など、どこに行っても治らなかったという悩みを持ち来店される。
その多くの方が痛いところだけ揉んだり電気を当てたりといったその場だけの治療ではなく、姿勢や痛みの原因となる根本から整えていく独自の施術法で改善し支持を得ている。
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